ウエイトを用いた強度の高い筋トレでは、瞬発力や筋力は鍛えられるものの持久力を強化することは非常に難しいです。
その為、陸上長距離やサッカーといった持久系競技の選手はあまり率先して筋トレを行いません。
しかし、ウエイトトレーニングはしなくとも、競技の練習以外に、身体の使い方を学習するためのエクササイズや、疲労を取り除くための軽めの運動などのフィジカルトレーニングは必要です。
この記事ではそんなマラソン、駅伝などの長距離向けの筋トレメニューを紹介していきたいと思います。
目次
陸上長距離で使う筋肉
使う筋肉ということでは、陸上短距離とあまり変化はありません。
ですが、使う筋肉が同じだからといって陸上短距離と同じトレーニングをしてはいけません。
陸上短距離では、下半身の筋肉が特に大切という話をしましたが、この時に使われる筋肉というのは白、またはピンク色をしたタイプ1もしくはタイプ2bと言われる筋線維です。
これは速筋と呼ばれるもので、筋力や筋収縮速度に優れている筋線維ですが、ミトコンドリアが乏しく、酸素を使ったエネルギー産生が苦手な筋繊維です。
逆に陸上長距離で特に大切になってくるのが、タイプ2a筋繊維、つまり遅筋です。
遅筋はミトコンドリアやミオグロビン(赤い色素)が豊富で酸素を用いてエネルギーを産み出すことが得意なために、力はないけれども持久力に優れた筋肉です。
ウエイトトレーニングなどの筋トレで鍛え、肥大する筋繊維は主にタイプ2b筋繊維、つまり速筋になります。
そのために、ウエイトトレーニングのような筋トレでは、陸上長距離のための様な持久力に優れた筋肉を直接鍛えるということはできないということになります。
あの100m世界記録者のボルトのような短距離選手の体付きと、40kmのマラソンを走る長距離選手の体付きを見ればその差がわかると思います。
全然体付きが違いますよね。
あれが、速筋を鍛えているか鍛えていないかの違いです。
では、「全くもって筋トレなどをトレーニングをする必要がないのか。」というとそうではありません。
長距離を目的で筋トレをする場合の注意点
上記で紹介した理由により、持久力を強化することを目的としてはいけません。
- フォームの改善
- 怪我の予防
今回はこれら2点を目的としたトレーニングを紹介していきます。
フォームの改善
筋トレは筋肉以外に神経系を鍛えることが出来ます。
正しいフォームで正しい身体の動かし方を学習する、ということです。
これにより、ランニングのフォームを改善して効率のいい走り方を習得しましょう。
怪我の予防
フォーム改善にも関連することですが、陸上長距離では同じ動作をものすごい数反復します。
この際に間違ったフォームで走り続けていると、負担のかかってはいけない部位に負担がかかってしまったり、筋肉に余計な負荷を掛けてしまうことによって怪我の原因となってしまいます。
これを防ぐためにも、筋トレにより正しいフォームの習得と、ある程度の筋力の強化は欠かせません。
おすすめの筋トレメニュー
上記で紹介した2つの目的のための筋トレメニューを紹介します。
これは陸上長距離競技者だけでなく、同じく持久系競技であるサッカー、またその他走る動作があるスポーツにおいて応用できます。
プランク
体幹部の基本的なトレーニングになります。
緩い体幹部で走り続けると、効率が悪い(ストライドが伸びない)他に、腰や脚に負担がかかってしまいます。
動画では脚を揃えて行っているように見えますが、二軸走法(両足の幅を腰幅に合わせて走る走法)のことを考えると、腰幅に開いて行ったほうがより効果的です。
ラテラルプランク
プランク同様、体幹部の基本的なトレーニングになります。
動きが直線のみの陸上長距離では、他の縦横無尽に動く競技(サッカーなど)に比べて、ラテラルエクササイズの優先度はあまり高くはありません。
しかし、走りを安定させるという意味ではやっておいて損のないトレーニングです。
股関節部分が一直線(走っているときと同じポジション)になることを意識してください。
デッドリフト
決して高重量を扱う必要はありません。
プランクトレーニングと合わせて行い、体幹部を更に強化しましょう。
デッドリフトでは特にPチェーンと言われる背部の運動に大切な筋群を連動させて鍛えることが出来ます。
軽い重量で15-20レップス、3セットほど行いましょう。
ベントオーバーローイング
デッドリフト同様に背筋を強化するための種目です。
長距離を走る際には長時間正しい姿勢をキープする必要がありますが、その際には特に背部の筋力が大切になってきます。
腕の力のみで引くのではなく、肩甲骨ごとしっかりと引き上げて胸を開くように意識してください。
レネゲイドロウ
プランクとベントオーバーローイングをかけ合わせたようなこの種目では、強靭な体幹部と背部の筋力が求められます。
体幹部を固めながら腕を引く、この運動は走りの動作に非常に告示しているためにとても効果的です。
ウォーキングランジ
ここまで行なってきた体幹部のトレーニングの集大成です。
上半身をしっかりと安定させて、ブレを最低限に抑えることを意識しましょう。
足の接地も丁寧に行なって、膝が内側に崩れないようにしてください。
他のトレーニング同様、重量は決して重たいものを使わなくても問題ありません。
ファーマーズウォーク
ウォーキングランジ同様、体幹トレーニングの集大成です。
腹部、臀部、肩甲骨様々な部位の筋肉を固め前進を安定させましょう。
ウォーキングランジよりは高重量を扱いますが、怪我のリスクを最低限に抑え、トラックでの練習の負担にならない程度の重量で行なってください。
デッドリフト with エクササイズバンド
最後は特殊な怪我を改善するためにトレーニング方法を紹介します。
「ニーイン」という現象を聞いたことがあるでしょうか。
ニーインとは、運動をする時に膝のアライメントが内側に崩れ、主に膝の内側の痛みが出てしまうことです。
この様な”間違った”身体の使い方を改善するために筋トレを行なうことも有効です。
エクササイズバンドに逆らうように、膝を外に開く力を入れながら動く練習をすることで、ニーインを改善することが出来ますので、自分の膝がよくニーインしてしまうという方は是非お試しください。
陸上長距離選手におすすめのサプリ
最後に陸上長距離選手に向けたおすすめのサプリメントをいくつか紹介します。
カーボサプリメント
陸上長距離選手にもっともおすすめのサプリメントが、炭水化物を手軽に摂取できるカーボサプリメントです。
とにかく普段の練習からもエネルギーを大量に消費する陸上長距離では、グリコーゲン(貯蔵エネルギー)を回復させるために練習後に素早く炭水化物を補給する必要があります。
カーボサプリメントは水に溶かして簡単に摂取出来き、また非常に吸収が早いので素早くエネルギーを補給することが出来ます。
粉末ブドウ糖などでも構いません。
カルニチンサプリメント
カルニチンを摂取することで体脂肪をエネルギーとして利用しやすくなります。
体脂肪は炭水化物よりもエネルギーを沢山産み出す事ができ、持久力の強化に繫がります。
試合の時などにおすすめです。
アンチオキシダントサプリメント
とにかくエネルギーを消費するこの競技では、酸素を体内で大量に消費します。
この大量に取り込んだ酸素の一部が活性酸素となり、身体を酸化させてしまいます。
活性酸素による被害は、関節痛、肌荒れ、疲労感など多岐にわたり競技継続の妨げになるために、しっかりと抗酸化成分(アンチオキシダント)を摂取して対応する必要があります。
以上が、おすすめのサプリです。
その他にも、筋肉の分解を抑制してくれるHMBなどの成分も今はアスリートの中で人気があります。
ただ、長距離の選手は別に筋肉をつけることを目的には筋トレは行わないと思うので、興味がある人はちょっと見てみてください。
まとめ
以上、陸上長距離のための筋トレとサプリメントでした。
筋トレでは持久力は強化しづらいものの、様々な方面からアプローチすることで競技力を向上させることが出来ます。
トラックでの練習に加え、ジムでの筋トレ、ストレッチ、また家に帰ってからも食事などをしっかりと取り組みましょう。
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