ピリオダイゼーションの基礎知識。筋トレとスポーツにおける計画の組み方。

筋トレに限らずですが、トレーニングはある一定の期間取り組んで終了ではなく、長期的に取り組んでいくことが大切です。

しかし、長期的に同じ内容でトレーニングをしていくことはマンネリ化するだけではなく、トレーニング効果も見えにくくなってきます。

ただ闇雲にトレーニングをしていたのでは、自身が立てた目標を達成するために遠回りしてしまう可能性があります。

そこでトレーニング計画をしっかりと立て、目標に合わせたプログラムを組んで行くことが大切です。

そんな目標を立ててプログラムを組んでいく方法でおすすめなのがピリオダイゼーションというプログラムです。

ここではそんなピリオダイゼーションについて紹介していきます。

ピリオダイゼーションを知らない人から、ピリオダイゼーションを取り入れてみようと考えている人はちょっと参考にしてみてください。

ピリオダイゼーションとはトレーニングを前進しやすくする考え方

通常トレーニングを行う場合には何らかの目標を立てて行います。

目標においては筋肥大・筋持久力・筋力・筋パワーなどが挙げられ、これらの目標を達成していくためにトレーニングにおける変数を調整します。

変数には

  • 頻度(週にどのくらい実施するのか)
  • 種目(何を選択するのか)
  • 順番(どの順番で行うのか)
  • 負荷(重量はどのくらいか)
  • レップ数(反復回数は何回か)
  • 動作速度(素早くあげるのか、ゆっくり行うのか)
  • セット数(何セット行うのか)
  • 休憩時間(何秒休むのか)

などが関係してきます。

これらを目標に応じて組み合わせたものがトレーニングプログラムと呼ばれます。

しかし、長期間同じ内容でトレーニングを行うことは

  • マンネリ化
  • 停滞
  • オーバートレーニング
  • 障害リスク

などが生まれ、これらを打破するために、身体への刺激を変化差させることが必要になります。

トレーニングを短期〜長期の期間に区切り、期間ごとにトレーニングの目標を決めた上で、プログラムに必要な変数を変化させることで、トレーニングを前進しやすくする考え方がピリオダイゼーションです。

線形ピリオダイゼーションと非線形ピリオダイゼーションについて

筋トレにおけるピリオダイゼーションでは

  • 線形ピリオダイゼーション
  • 非線形ピリオダイゼーション

この2つの種類にわけてメニューを組むことが多いです。

昔はほとんどが線形ピリオダイゼーションでした。

線形ピリオダイゼーションのメリット

線形(linear)とは数学で言うところの一次式で表現ができるような一定の性質があること指します。

トレーニングプログラムにおいての「線形(linear)ピリオダイゼーション」は、期間毎に扱う重量を増やしレップ数を減らしていく昔ながらの伝統的なプログラムの設定方法です。

  • 高重量x低回数の期間
  • 低重量x高回数の期間

が明確に分けられています。

シンプルで計画的に実施しやすいと言う長所がありますが、その分プログラムに柔軟性が乏しいため見直しをしなけらばならない可能性もあります。

線形ピリオダイゼーションのセットの組み方

セットの組み方(ベンチプレス)

1~4週目:80kg・12レップ・4セット

5~8週目:90kg・8レップ・3セット

9~12週目:100kg・4レップ・2セット

非線形ピリオダイゼーションのメリット

これに対して「非線形(nonlinear)ピリオダイゼーション」は一定の表現ができない、つまり、扱う重量の上限やレップ数、セット数を変えていく設定方法です。

トレーニングを行う度ごとに重量と回数を変化させていくのです。決まったパターンを取らないため、当日(その週)に内容を決定します。

長所としてはコンディションが悪い場合などにトレーニングの変数を変えることができ柔軟に対応出来ることが挙げられます。

そうすることで、怪我や故障のリスクにもつながりにくく、トレーニングをより継続しやすくなります。

非線形ピリオダイゼーションのセットの組み方

例:その日(週)によってレップ数、セット数を変更する

セットの組み方(ベンチプレス)

1週目:100kg・5レップ・5セット

2週目:75kg・10レップ・3セット

3週目:60kg・15レップ・4セット

4週目:105kg・3レップ・2セット

線形ピリオダイゼーションと非線形ピリオダイゼーションの効果を比較した実験では、多くの実験結果で非線形ピリオダイゼーションの方が筋力の発達に効果的であるという結論が出ています。

ピリオダイゼーションの3つの区分け

ピリオダイゼーションにおけるトレーニングプログラムは、期間別に

  • マクロサイクル
  • メゾサイクル
  • ミクロサイクル

の3つのサイクルに分けられます。

マイロサイクル

マクロサイクルは長期的な期間で約半年〜1年間で1つのサイクルとし大きな目的の為の期間です。

筋肥大などの見た目の変化や、大会位に向けてのシーズンなどが該当します。

メゾサイクル

メゾサイクルは通常4週間〜8週間を1つのサイクルとして構成されており、マイクロサイクルは複数のメゾサイクルで構成されています。

筋肥大期・筋力向上期・筋パワー向上期・筋持久力向上期など目的に合わせて区分けを行ったり、スポーツや競技においては準備期・移行期・試合期・休養期などに分類されます。

ミクロサイクル

ミクロサイクルは1週間〜4週間で1つのサイクルで日毎、週毎でトレーニングを変化させることができます。

メゾサイクルは複数ミクロサイクルで構成されており、トレーニングの変数を変化させて行きます。

ピリオダイゼーション計画:競技種目の場合

短期、長期のプランニング(どの程度の期間行い、どれくらいの頻度でプランを変えるか)

  • ー年間計画(マクロサイクル)→目標とする試合や大会から逆算
  • ー月間計画(メゾサイクル)→通常1〜3ヶ月で◯◯期にあたる
  • ー週間計画(ミクロサイクル)→非線形ピリオダイゼーションで週毎に強度を変え、様々な適応を狙う

期間 期間理由 目的
1月 準備期 筋肥大
2月 準備期 筋持久力・筋力
3月 準備期 パワー
4月 試合期 ピーキング
5月 試合期
6月 移行期
7月 準備期 筋肥大
8月 準備期 筋持久力・筋力
9月 準備期 パワー
10月 試合期 ピーキング
11月 試合期
12月 休養・移行期
それぞの目的

準備期:個々の筋力や柔軟性、バランス、基礎的な技術、体力などを強化する期間。

試合期:技術・戦術練習を行う時期。団体競技であればチームプレーなどもここで行う。試合に向けてのリハーサルなど戦術練習がメインの時期。

移行期:回復にあてる期間で次の期に向けての計画を立てる。

休養期:回復にあてる期間。後半は内容の見直しや弱点の強化などを行う。

※あくまで一例であり時期や、現状の状態、目標によって計画は変わってきます。

ピリオダイゼーション計画:ボディメイクの場合

ボディメイクの場合にはスタート時の体型によって多少異なります。

筋肥大時のやり方(メニューの組み方)

筋肥大の場合には下記の変数設定で行うこうことをオススメします。

頻度

中級者であれば週に3〜4回のトレーニングを実施していきます。

週に3回実施可能であれば、大筋群をメインに全身を行なうか、分割法(スプリットルーティン)で分けたものを交互に実施。

週に4回実施可能であれば分割法でトレーニングを実施していきましょう。

分割法の場合には2つのトレーニングプログラムを交互に行うと良いです。

分割法:例
[A]胸、背中、上腕二頭筋、腹筋

[B]脚、肩、上腕三頭筋、腹筋

種目

高重量をある程度扱える種目をメインにメニューを選択していきます。

BIG3のベンチプレス、スクワット、デッドリフトはトレーニングプログラムに積極的に組み込んでいきたいです。

順番

選択した種目の中から、コア種目(多関節・大筋群)と呼ばれる種目から実施し、その後補助種目(単関節・小筋群)を行うことで、

大筋群へしっかりと負荷を入れる事ができ、小筋群をしっかりと追い込むことができます。

負荷・レップ数

扱える重量(1RM)のおよそ67%〜85%の重量でトレーニングを実施します。

反復回数で言うと、6〜12回がギリギリで挙上出来る重量設定で行います。

セット数

最低でも3セットは行ってください。可能であれば6セットは組みたいです。

休憩時間

一般的には30秒〜90秒が多いと思います。公共施設だと器具やマシンをあまり長く使用出来ないため、60秒程度の休憩時間にすると良いです。

期間

人間の身体の細胞は生まれ変わっており筋肉のターンオーバーは約80日と言われています。

そこで期間としては3ヶ月を目安に1度取り組んで行くのがオススメです。

それぞの目的

導入期:トレーニングが全く初めての場合にはフォームの習得・体を慣らす期間を設ける。基本的には追い込まない

減量期:体脂肪過多の場合には体脂肪減少を目的としてトレーニングを行う。レップ数多めで休憩を少なめで行うケースが多い。

筋肥大期:ある程度体脂肪を落とすことが出来たら、筋肉のサイズを大きくしラインを出すことを目的としてトレーニングを実施する。高重量で追い込む。

減量期:筋肥大期には筋肉と共に多少の脂肪も付くため、そこで付いた脂肪を落とす期間。

  • 肥満型の場合:導入期→減量期→筋肥大期→減量期
  • 痩せ型の場合:導入期→筋肥大期→減量期

ただしボディメイクの場合にはトレーニング変数の変化の他、食事内容が大きく変わる。

トレーニングをムダにしないためにサプリなどを活用するのもアリ

いくらしっかりとトレーニングで追い込めたとしても、筋肉を付けるためには栄養と休養が疎かではなかな筋肥大させることは難しいです。

栄養面ではしっかりと現在の体重に合ったカロリーや栄養バランスの設定が必要で、特にタンパク質は確実に摂取していきます。

食事だけで難しい面があるためプロテインや

筋トレの効果をより高めてくれるサプリを活用していきましょう。

また糖質も筋肥大には必須の栄養素のため適切な量を摂取してください。

それと休養はボディメイクにおいて土台になります。

最低でも1日6時間の睡眠を確保して、体を休めてください。

まとめ

人間の身体は誰一人として同じ人はいないため、一般的なものが必ずしも正解とは限りません。

しかし人間の身体は必ず一定の刺激には慣れていってしまう生き物です。

計画を立て、変化をつけることがトレーニングレベル、体の変化を起こすためには必要です。

自分で計画やトレーニングプログラムを立てる事はトレーニングの経験に左右される為、はじめのうちはトレーナーに相談して組く事をオススメします。

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