こんにちは。ビーガンボディビルダーの池田あゆみです。
僕は2年ほど前からビーガン(ヴィーガン)というライフスタイルで体作りをしています。
日本ではまだ深く知られていないようですが、ビーガン(ヴィーガン)をご存知でしょうか?
倫理観や環境問題への配慮から動物の殺生を最小限にしようと、動物性食品の摂取、まだ革、ウールなどの動物性の材料を用いた製品の購入を控えるライフスタイルです。
もうお気づきかと思いますが、動物性食品を摂取しないビーガンというライフスタイルで体作りをする場合、皆さんがよく飲まれているようなホエイプロテイン、ビーフプロテインといった動物性のプロテインパウダーを使用することができません。
プロテインだけではなく、普段の食生活でも肉や卵を摂取しませんので、タンパク質の摂取がかなり難しくなってしまうのです。
僕は、この制限された状態でいかに効率よく筋肉をつけることができるか自分の体を使って実験しているのです。
今回の記事では、ホエイやビーフに取って代わる、僕のオススメのビーガンプロテイン達を紹介していきます。
ビーガン(ヴィーガン)でない方でも、植物性タンパク質を上手に使うことで健康状態を改善することができますので、よかったら参考にしてみてください。
ビーガン(ヴィーガン)が摂取できるタンパク質を多く含む食品群
プロテインパウダーの話をする前に、まずはビーガンがどんな食材を摂取できて、その中でもどんな食品にタンパク質が豊富なのか見ていきます。
ビーガンが摂取できる食材は、植物性食品のみです。
日本でよく知られているベジタリアンは卵や乳製品も摂取しますが、ビーガン(ヴィーガン)ではこれらの食材も動物性のため摂取しません。
つまり、乳製品であるホエイプロテインも摂取できないのです。
では、どんな植物性の食材にタンパク質が豊富なのでしょうか。
豆類
まず、一番良く知られているのが豆類です。
「畑の肉」として知られている大豆を始めとした豆類は植物性食材の中で最もタンパク質の摂取に適した食品群です。
穀物類
次によく摂取されているのが、穀物類です。
米、麦などの穀物は、一般的には炭水化物として知られていますが、これらもビーガン(ヴィーガン)にとっては立派なタンパク源になります。
タンパク質の含有率は10%と豆類(20-30%)と比べると少ないですが、こういった食材からもしっかりとタンパク質を摂取していかないといけないぐらい、ビーガンではタンパク質不足が問題となります。
種実類
最後に紹介するのが種実類です。
ピーナッツやアーモンドといった木の実、ナッツ類ですが、これらはタンパク質も豊富ですが脂質などの栄養素も非常に豊富です。
タンパク源として利用してしまうと脂質が過剰摂取になってしまうことが多いため、あくまでも脂質やミクロ栄養素の摂取源として利用することが多いです。
- 豆類
- 穀物類
- 種実類
以上、3つの食品群を紹介しましたが、種実類はタンパク源になりえないことから、主に豆類と穀物の2つの食品群がビーガンの主なタンパク源になります。
植物性タンパク質の問題点
動物性タンパク質のほとんどはアミノ酸スコアが”100”の完全タンパク質です。
しかしながら、植物性タンパク質はこのアミノ酸スコアが低く、「質が悪い」タンパク質と言われています。
アミノ酸スコアとは?
タンパク質は20種類のアミノ酸が繋がることによって作られています。
中でも8種類(幼児の場合は9種類)のアミノ酸は体内で合成することができないために、摂取することが絶対必要な必須アミノ酸と呼ばれています。
この必須アミノ酸が1種類でも基準に満たしておらず足らない状態だと、そのタンパク質を体内でタンパク質として利用することができなくなってしまうんです。
タンパク質として利用とは、主に
- 筋肉を合成する(収縮タンパク質)
- 酵素を作り出す(ペクチンなど)
- 輸送組織となる(輸送タンパク質)
- 免疫機能(防御タンパク質)
などの利用方法があります。
アミノ酸スコアが低いタンパク質の摂取に偏ってしまうと、これらの働きが上手にいかず身体に様々な支障をきたしてしまうのです。
アミノ酸スコアが低いとタンパク質が無駄になってしまう
“豊富な種類の食材からタンパク質を摂取しなさい。”
というアドバイスを聞いたことがあるはずです。
これはまさに、特定のタンパク質に摂取が偏った場合に特定の必須アミノ酸が欠乏してしまい、タンパク質をタンパク質として利用できなくなることを懸念しているのです。
動物性タンパク質のほとんどが必須アミノ酸が一つも欠乏していない完全タンパク質ですので、あまり問題にはなりませんでしたが、植物性タンパク質の場合は違います。
良質なタンパク質と言われている豆類でもアミノ酸スコアが90(90%しか上手に利用できない)、穀物類に至っては60まで落ちてしまいます。
例えば、穀物に偏ってタンパク質を摂取した場合、200gものタンパク質を摂取したのにも関わらず、約60%しか利用できませんので80gものタンパク質が無駄になってしまうのです。
「穀物×豆類」の食べ合わせが大切
穀物に欠乏している必須アミノ酸はリジンです。
このリジンが必要量の60%しか満たしていないために、アミノ酸スコアが60になってしまいます。代わりに、メチオニンというアミノ酸が豊富に含まれているのが特徴です。
豆類はどうでしょうか。
反対に、リジンの含有量が豊富なのが豆類のタンパク質の特徴で、メチオニンの含有量が低いのが問題になっています。
ここで食べ合わせの出番です。
リジンが少なくメチオニンが多い穀物と、メチオニンが少なくリジンが多い豆類を食べ合わせてはどうでしょうか。
まるでパズルのピースがハマるかのように、お互いの欠点を補い完全タンパク質を作り出すのです。
この食べ合わせは日本の伝統的な食事にも反映されています。
白いご飯には納豆や豆腐、味噌汁といった大豆を使った料理が一緒に食べられてきました。
日本だけではありません。
僕が住んでいるメキシコでは、トルティーヤと言うとうもろこし粉(穀物)を練って焼いた皮に、インゲン豆のペーストを塗って食べるブリトーという伝統料理があります。
植物性タンパク質だけでタンパク質を摂取する場合は、「穀物×豆類」という食べ合わせを実践してみてください。
ビーガン(ヴィーガン)プロテインの種類
植物性タンパク質の問題点については把握できましたでしょうか。
それでは今回の本題である、ビーガンプロテインの種類について見ていきましょう。
今回紹介するプロテインは、
- ソイプロテイン
- ピープロテイン
- ライスプロテイン
- ヘンププロテイン
- 混合プロテイン
の5種類です。
安価で見つけやすいソイプロテイン
ソイプロテインは日本でもよく流通しているのでビーガンでなくても飲んでいる方は多いはずです。
ホエイプロテインよりも安価で、タンパク質の含有量が高いものが多く、大豆イソフラボンの印象などから、シェイプアップしたい女性に人気のような印象があります。
ソイプロテインは大豆が原料ですので、上記でも紹介したようにメチオニンの含有量が低く完全タンパク質ではない可能性が非常に高いです。(品質に依存する)
ソイプロテインの特徴1:ゆるやかな吸収
ホエイプロテインが1-2時間で吸収されつくされるのに対して、ソイプロテインは4-5時間かけてゆっくりと吸収されていきます。
ですので、トレーニング後のゴールデンタイムに摂取するよりは、睡眠前や食後、間食などに摂取すると効果的です。
ビーガン(ヴィーガン)でない方であれば、アミノ酸スコアは問題ありません。(他の動物性タンパク質によりメチオニンが補われる)
ですので、トレーニング後はホエイプロテインを、ソイプロテインを上記のようなタイミングで摂取する、といったような二刀流が非常に効果的です。
ソイプロテインの特徴2:抗酸化能力が高い
これはソイプロテインだけではなく、植物性プロテイン全てに通づることですが、ポリフェノールと呼ばれる植物独特の成分が豊富です。
ポリフェノールは植物の独特の色味や苦味を表現している成分で、抗酸化力が非常に高いのが特徴です。
特に筋トレなどの激しい運動をしている場合は、ストレスが溜まり身体を蝕む活性酸素が大量に発生します。
抗酸化力の高い食品を多く摂取することで、活性酸素から身を守ることができるのです。
ソイプロテインの特徴3 :安価で高タンパク
ソイプロテインをおすすめする1番の理由は、安くて高タンパクだからです。
タンパク質1gあたりの単価を計算した場合、平均してソイプロテインの方が安くなっています。
またタンパク質の含有率も90%を超えるものが多く、余計なものを摂取したくない方にも非常におすすめなんです。
ソイプロテインは植物性プロテインパウダーの王道と言ったところではないでしょうか。
しかしやはり問題になるのが、メチオニンの含有量の低さです。
僕は実際にソイプロテインを摂取していますが、これとは別にメチオニンのサプリメントを摂取することで不足分を補うようにしています。
ビーガンでなければ問題ありませんが、メチオニンが少ないということを頭の片隅で意識しておくといいでしょう。
ソイプロテインに取って代わるピープロテイン
ソイプロテインは安価で購入しやすいためにオススメのプロテインですが、問題点もいくつかあります。
大豆イソフラボン問題
大豆に含まれるポリフェノールの一種であるイソフラボンですが大豆製品を日常的に摂取している場合、過剰摂取になってしまう可能性が高いです。
一時的な過剰であれば問題ありませんが、ソイプロテインの利用が習慣となり過剰する日が継続する場合はかなり危険です。
アンチニュートリエント問題
近年、海外では大豆に含まれるアンチニュートリエントが問題視されています。
アンチニュートリエントとは、日本語に訳すならば「反栄養素」。
植物が動物から身を守るために備えられた毒のようなものです。
大豆にはゴイトロゲン、フィチン酸とったアンチニュートリエントが多く含まれており、多くのミネラルの吸収を阻害します。
これらの問題から、「ソイフリー」と呼ばれる大豆製品の摂取を控える動きが健康先進国を始めとし活発になっています。(昔から大豆を習慣的に摂取してきた日本人には、あまり問題ではないと言われています)
大豆ではない、ソイフリーのビーガンプロテインとして人気なのが、ピープロテインです。
大豆同様、豆類のプロテインなので基本的な特徴は同じです。
値段も安価ですので、上記のような問題が気になる方におすすめです。
ソイプロテインと比較するとまだ歴史が浅く開発段階ですので、味が悪かったり水に溶けにくかったりと、様々な問題を抱えています。
僕の一押しライスプロテイン
ライスプロテインとは、名前からもわかるようにお米を原料としたプロテインです。
「お米にタンパク質なんてあるの?」と思われるかもしれませんが、ライスプロテインの原料となる玄米には、精白された白米よりも豊富にタンパク質を含んでいます。
私達がよく食べている白米は味を第一に考え外皮と胚芽が取り除かれているのですが、この部分にタンパク質を始めとし、ビタミン、ミネラルなどの大切な栄養素が含まれているのです。
ライスプロテインを勧める理由1:豊富な栄養素
特筆すべき栄養素は、
- 抗酸化成分(ポリフェノール)
- ビタミンB群
- 食物繊維
です。
ポリフェノールは上記でも述べたとおり活性酸素を除去する抗酸化物質ですので、筋トレをしている方は積極的に取りたい成分です。
続くビタミンB群は、栄養素の代謝に特に大切な栄養素ですが、ビーガンでは欠乏しがちです。
ライスプロテインから適切に摂取することで栄養素の代謝、特にタンパク質の合成を高めることが可能です。
植物性のプロテインパウダーがビーガンでない人にもオススメしたい理由の一つが、血をサラサラにするということです。
これに特に貢献しているのが、食物繊維とポリフェノール。
ポリフェノールは活性酸素を除去することで血中の悪玉コレステロール値を正常化しますが、食物繊維はそもそも余分な脂質の吸収を防いでくれます。
食の欧米化により動物性の悪い脂質の摂取が過剰になりがちな昨今、植物性のプロテインパウダーを取り入れ血液の状態を管理することは、健康な生活を長く保つためにとても効果的です。
ライスプロテインを勧める理由2:メチオニンの含有量
筋肉を大きくするためにもライスプロテインはとてもおすすめのサプリメントです。
ビーガ(ヴィーガン)ンの方が、プロテインパウダーからではなく食品からタンパク質を摂取しようとした場合、主な摂取源は豆類と穀物という紹介をしました。
しかしながら、穀物のタンパク質の含有量は10%と比較的低く、現実的にはタンパク源は豆類に偏ってしまうのです。
通常の食事でのタンパク質の摂取が豆類に偏った場合、欠乏しがちな必須アミノ酸はメチオニンです。
メチオニンが欠乏した状態で、さらにプロテインパウダーが豆類であるソイプロテインやピープロテインだったらどうでしょうか。不足したメチオニンが補われないまま、多くのタンパク質が無駄となってしまいます。
食事が豆類に偏るのであれば、サプリメントでは穀物からタンパク質を摂取するようにすることで、上記で紹介したような「穀物×豆類」という完全タンパク質を作るための理想の食べ合わせを再現することが可能なのです。
これが、メチオニンの含有量が豊富なライスプロテインを特にオススメしたい理由です。
ヘンププロテインは完全タンパク質!?
こちらも近年開発が進められているビーガンプロテインです。
マリファナと勘違いされることが多いですが、ヘンプとは麻の種子を食品としたもので、嗜好品としてのマリファナや大麻とは使われる場所が違います。
もともと必須脂肪酸を多く含むヘンプオイルが美容に効果的として人気でしたが、次にこの搾りかすとなったヘンプシードのタンパク質に注目されるようになりました。
多くのメーカーがヘンププロテインはアミノ酸スコア100、つまり完全タンパク質として紹介し販売していますが、これについては諸説あります。
調査した組織によってはリジンの含有量が基準を満たしていたりいなかったり。
品質によっては完全タンパク質と言えなくはないけど、リジンの含有量には少し疑問が残るといったようなところでしょうか。
現在、ヘンププロテイン単体のみで販売している企業は少なく、ピープロテイン同様まだ研究開発段階であると言えるでしょう。
今後に期待したいですね。
これらのプロテインが全て配合された最強の混合プロテイン
現在、「ビーガンプロテイン」という名前で販売されているプロテインの多くが、上記で紹介したような種類のプロテインを配合させたものになります。(ソイプロテインを除く)
これは冒頭でも紹介したように、植物性プロテインのアミノ酸スコアが低いため、多くの種類からタンパク質を摂取することでアミノ酸スコアを補えるようにしているのです。
多くの植物性プロテインパウダーを配合することで、とても多くの種類の栄養素をカバーすることが可能です。
ビタミン、ミネラル、食物繊維などなど、健康のために必須な栄養素がベースとして含まれているのですが、そこに更にメーカー側が目的に合わせて栄養素を添加していたりするので、自分の目的にあったプロテインを選択するといいでしょう。
例えば、Vivolife社は多くのビーガンボディビルダーのスポンサーとなっている会社で、筋合成に特化するためにBCAAを添加しています。
このBCAAはひまわりの種を主原料とした植物性のBCAAです。
Sunwarrior社の混合ビーガンプロテインであるClassicPLUSは
- オーガニックピープロテイン
- オーガニック玄米プロテイン
- オーガニックキノアプロテイン
- オーガニックチアシードプロテイン
- オーガニックアマランサスプロテイン
と、5種類ものプロテインを配合しています。
このプロテインからはタンパク質だけでなく、ビタミンやミネラルといったミクロ栄養素も摂取することが可能ですので、健康のトータルサポートに適しています。
BCAA+Gで有名なMRM社からもビーガンプロテインが販売されています。
中でもオススメなのが、VeggieProtein with Superfood。1スクープ37gに22gのタンパク質と、一見含有量は少ないようですが、そのかわりに
- 食物繊維
- 必須脂肪酸
- 抗酸化物質
をたくさん摂取できるように作られています。
必須脂肪酸はビーガンに欠乏しやすい栄養素ですが、その他の栄養素についてはビーガンであれば普段の食事から簡単に摂取が可能です。
ですので、このプロテインはビーガン(ヴィーガン)の方へ、というよりは健康が気になってきた中年以上のトレーニーの方に是非おすすめしたいです。
特に上記で紹介した3つの栄養素は、動脈硬化、脳卒中、高血圧などの心血管疾患を改善するためにとても効果的な成分です。
いつまでも長く、健康な生活、また素敵な筋トレライフを送るためにも、ビーガンプロテインはとても効果的なのです。
【目的別】おすすめのビーガンプロテイン
最後に上記の中でも特におすすめのビーガンプロテインを目的別で紹介します。
1番のおすすははたくさんの栄養素が摂取できる混合プロテイン
特に中高年のトレーニーにおすすめしたいのが混合プロテインです。
筋合成だけでなく、健康をトータルサポートするのにとても優れたプロテインです。
[amazonjs asin=”B00FD2U4GU” locale=”JP” title=”Veggie Elite Protein 2.2″]ガンガンタンパク質を摂取したい方はソイプロテイン
ホエイプロテインとの併用にもおすすめで、とにかく安く、たくさんタンパク質を摂取したい方におすすめです。
普段の食事でタンパク質を取れていない、特に夕飯を忙しくて食べている暇がない、という方は是非!
ビーガンで筋合成を目指したい方はライスプロテイン
ビーガン(ヴィーガン)の場合は普段の食生活でのタンパク源が豆類に偏りがちですので、「豆類×穀物」という食べ合わせを完成させるためにサプリメントは穀物由来のものがおすすめ!
やっぱりホエイプロテインが筋肉には1番と思われている方へ
それは間違いありませんが、吸収の早いホエイプロテインと吸収の緩やかなビーガンプロテインを使い分けることで、筋合成を更に高めることが可能です。
まとめ
総称して、植物性のプロテインパウダーは動物性のホエイなどと比べ、筋合成は劣るものの、ミクロ栄養素、食物繊維、ポリフェノールが豊富なため、健康に効果的ということが言えます。
健康、特に心血管疾患のリスクを下げるためにとても効果的です。
普段からビーガン(ヴィーガン)のライフスタイルを行っているのであれば、これのリスクは非常に少なくなっているので、わざわざ心血管疾患のためにビーガンプロテインを摂取する必要はありません。
しかし、お肉をよく食べる方であれば、心血管疾患のリスクは非常に高くなりますので、そんな方にほどビーガンプロテインを強くおすすめしたいです。
吸収の緩やかなプロテインとしてカゼインプロテインを使われている方は、次回からソイプロテインやビーガンプロテインを試してみるのはいかがでしょうか?
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