亜鉛と聞いたら、なんだか金属の一種のようなイメージがありますが、実は健康に大切な栄養の1つ。
しかも、亜鉛ひとつで、体に様々な効果をもたらす、いわば栄養界の「マルチプレイヤー」。
この記事ではそんな亜鉛の主な効果や気をつけたい副作用などを紹介しております。
目次
亜鉛とはミネラルの1つで身体に必要不可欠なもの
亜鉛は、大栄養素の「ミネラル」の1つで体内に約2000mg存在しています。
骨格筋・骨・皮膚・肝臓・脳・腎臓など体のいたるところに存在し、体の様々な働きに携わっている成分です。
そして亜鉛は、ミネラルの中でも、特に人間の体に必要な必須ミネラル16種に含まれます。
1日に必要な量は微量ですが、体の中で作り出すことができないミネラルなので、意識的に外部から摂取することが必要です。
亜鉛に期待できる14個の効果
必須ミネラル16種の1つである亜鉛。
では亜鉛によってどのような効果が期待できるのでしょうか?
主な効果は下記の14個です。
体の抗酸化剤として働きアンチエイジングに効果的
体のあらゆる細胞は酸化することで古くなっていきます。
それに対して、亜鉛は体が酸化していく過程を防止してくれる働きがあります。
特にお年寄りはいつも元気でいるために、亜鉛の摂取が欠かせません。
亜鉛の抗酸化作用によって、高齢化が原因で引き起こされる、癌などの病気を防いでくれるという効果もあります。
また、いつも美容に気を使っている女性の皆さんも亜鉛は忘れずに摂取しましょう。
身体の免疫力を高め風邪をなおす
亜鉛は風邪や病気を治すための自然治療薬としても使われることが多い成分です。
アメリカのケース・ウェスターン・リザーブ大学、Hulisz D教授による研究では、亜鉛が鼻腔内の粘膜に風邪の細菌が繁殖していく過程を妨げることが報告されています。
また、インドの研究によると、風邪をひいている患者に亜鉛を投与すると、投与しなかったグループに比べて治癒が早かったことが報告されています。
上記のように、亜鉛を取ることで、風邪になる可能性を下げ、すでに治療中のあらゆる病気の治癒スピードを上げてくれる効果が期待できます。
ホルモンバランスを整える
亜鉛は男性と女性の両方に働き、ホルモンバランスを整え、非常に広範な役割を果たします。
特に女性は、エストロゲンとプロゲステロンというホルモン生産には亜鉛が必要であり、両方とも月経の機能をサポートするホルモンです。
これらのホルモンが不足すると、月経の乱れや、月経時の気分の乱れ、そして早期閉経、不妊症などの問題を引き起こし、特定の癌のリスクを高めることさえあります。
特に更年期の近くの方はホルモンバランスが乱れがちになるので注意しましょう。
肥満を解消する
肥満は血糖値の上昇と深い関係がありますが、亜鉛には、血糖値の調節に関与するホルモンであるインスリンを正しく分泌するようにする働きがあります。
[blogcard url=”https://jinga-fitness.jp/kintore-glossary/insulin.html”]亜鉛はインスリンと結合し、インスリンが脾臓に十分蓄積するように促します。
そして、グルコース(糖)が血中に入った時に、しっかりとインスリンを放出できるようにしてくれるのです。
また、亜鉛は 消化酵素が体内で適切に働くのを促進し、入ってきたグルコースを不要に脂肪として貯蓄せず、エネルギーとして使用できるようにしてくれます。
このような作用により亜鉛を摂取することで、結果的に肥満解消にの予防にも繋がります。
血管を正常に保ち、心臓の健康維持に役立つ
亜鉛は高血圧、また高コレステロールによって起こる動脈の損傷などに対して、自然治癒剤として使われるミネラルです。
つまり亜鉛は、心臓を行き来する血管の正しい機能維持に役立つ栄養素なのです。
生殖機能を高める
先ほども亜鉛はホルモンの調節に効果的であると紹介しましたが、亜鉛は女性の妊娠の可能性を上げ、男性でいうと血清テストステロンレベルを調節のに重要な役割を果たします。
男性においては、亜鉛不足により、 テストステロンが正常に働かず、性欲減退につながってしまうのです。
ウェイン大学の内科学部の実験では、男性が亜鉛の摂取を断ってから20週間後に、亜鉛を与えることで血清テストステロンがぐんと上がったという結果も報告されています。
また、女性の「卵」の成長時において、一定の量の亜鉛が必要とされます。
つまり、亜鉛が不足した場合、卵の成熟から排出のプロセスが適切に行えなくなってしまうのです。
そのために亜鉛は男性だけではなく女性の生殖機能にも必要不可欠な成分なわけです。
消化機能を上げる
亜鉛は体が栄養の吸収、消化をする機能において必要とされる栄養素です。
例えば、たんぱく質を合成する際、食物からアミノ酸を摂り入れる働きには亜鉛が必要です。
また、摂取した栄養をエネルギーとして変換する際に、亜鉛が必要であることも忘れてはいけません。
このように、体が食べ物をエネルギーとして働くプロセスに亜鉛が大きく関与しているのです。
肝臓の健康維持に役立つ
亜鉛によって、肝臓の感染症発症率が大きく低下することも最近の研究で明らかになっています。
また、肝臓の健康や清浄化を促進し、炎症に対する回復力を高めてくれます。
亜鉛は肝臓の全体的な健康維持の役割を負い、それによって肝臓内での栄養の吸収率、不要物の排出率を高めてくれるのです。
筋肉の修復を促進する
亜鉛は細胞分裂と細胞増殖に重要な役割を果たします。
つまり、 亜鉛は筋肉の修復と成長を促し、身体を回復させ、筋肉や骨格系の力を維持するために役立つのです。
亜鉛はテストステロン、成長ホルモン、インスリン様成長因子などの放出にかかわっていますが、これらのすべてが筋肉の修復や維持に大切なホルモンです。
記憶力の向上に役立つ
トロント大学で実施された、亜鉛に関する研究では、 神経が相互に情報を伝達し、記憶が形成される過程、また人が学習する過程において亜鉛が大きく関与することが発表されています。
亜鉛は体の機能やホルモンに関しての働きだけでなく、人間の記憶の形成にも大きな影響を及ぼす成分です。
傷をなおす、肌をツルツルにする
亜鉛には、肌の状態を正常に保つ効果があります。
亜鉛が十分で健康な肌は、外界からの刺激に無駄に反応したりせず、水分を常に保っているしっとりとした肌になります。
そのため、ツ ルツルなお肌の状態をキープするためには亜鉛を進んで摂取することをおすすめします。
また、おむつかぶれや皮膚の炎症を治すための治療薬には亜鉛が含まれていることが多いです。
さらに、一度損傷してしまった古傷を治す際に、亜鉛が必要とされます。
亜鉛は、肌のあらゆるトラブルや健康維持に必要不可欠なミネラルなのです。
老化が原因の病気に効果アリ
上記で書いたように、亜鉛は体が酸化していくのを防止する効果があります。
そのため、いつまでも体の状態を若々しく保ち、老化が原因の慢性病を予防してくれます。
味覚障害に効果アリ
味覚障害の原因の半分以上を占めているのが亜鉛不足です。
亜鉛が不足すると、味を感じ取る「味蕾」という細胞の生まれ変わりが阻害され、味が薄く感じられる、甘みだけが感じ取れない、など様々な症状の味覚障害を引き起こしてしまいます。
亜鉛不足を自覚できる症状として、一番分かりやすい症状がこの味覚障害といえるかもしれません。
はげ予防
亜鉛は、髪の生まれ変わりに大きく関与するケラチンを生成し、健康な髪の生成を阻害する5αリダクターゼ酵素を抑制する働きがあります。
また、髪の源であるたんぱく質の吸収を促進してくれるので、一石二鳥です。
亜鉛の過剰摂取による副作用
亜鉛は、そもそも身体に必要不可欠の成分なので、必要摂取量を守れば基本的に副作用の問題はありません。
成人の基準でいうと毎日40mgの摂取量が目安です。
しかし、その量を超えた摂取は、
- 発熱
- 咳
- 胃痛
- 疲労
- 体内に吸収される銅の量が減少する
上記のような症状を引き起こすこともあります。
また、一日450mg以上の亜鉛を毎日摂取すると、血液鉄に問題が生じることも。
また、以下の場合は亜鉛摂取に関して慎重に行う必要があります。
アルコール依存症の方
長期間の過剰なアルコール摂取は、体内の亜鉛吸収が悪いことと結びついています。
亜鉛を多く投与するなど、摂取する亜鉛量に変化が起こる時は、医師と相談の上行った方がいいです。
糖尿病の方
大量の亜鉛は、糖尿病患者の血糖を下げることがあります。糖尿病患者は慎重に亜鉛製品を使用することをおすすめします。
血液透析の方
血液透析治療を受けている人々は、亜鉛欠乏症のリスクがあるようであり、亜鉛サプリメントを必要とする可能性があります。
必要量などは医師と相談して決めましょう。
HIV/ AIDSの方
あなたがHIV / AIDSを持っている場合は、慎重に亜鉛を使用してください。亜鉛の使用は、HIV / AID患者の生存期間の短縮につながっています
関節リウマチ(RA)の方
RA患者は亜鉛を吸収しない可能性があります。
以上に当てはまる人で、亜鉛のサプリメントなどを考えている人は、医師と相談するなど気を付けて行うようにして下さい。
亜鉛不足によって起こる症状
日本はミネラルが少ない土壌を持ちますので、全世界的な基準でも血中の亜鉛濃度は低めです。
偏食や無理なダイエットが原因で、亜鉛不足が指摘されており、特に最近は亜鉛欠乏症は大きな問題となりつつあります。
亜鉛が不足すると、体に様々な悪影響を及ぼすので注意が必要です。
自分が亜鉛不足かどうかを知るために、以下に書かれている「亜鉛不足によって起こる症状」を確認してみましょう。
複数の症状が同時に起こっている場合、亜鉛不足の可能性があります。
- 食欲減少
- 臭いや味が変に感じる
- 体重減少
- 抜け毛
- 消化不良
- 下痢
- いつも疲れている
- 性欲減退
- PMSがひどくなった、などホルモンバランスの乱れを感じる
- 風邪をひきやすい
- 記憶力が下がった
- 傷の治りが遅くなった
- イライラする
皆さんは、亜鉛不足の可能性はありましたか?
慢性的な亜鉛不足になってしまうと、あらゆる面で体に不調が生じるのに対し、亜鉛不足であることをきっぱりと示すあからさまな症状は少ないです。
そのため、 亜鉛不足であると自覚せずに過ごしている方が多くいるのも現実です。
亜鉛不足の可能性を感じた皆さんは、ぜひ、この機会に亜鉛をしっかりとることができるよう、食生活を見直してみてください。
亜鉛と組み合わせが良い栄養素
亜鉛でも単体で摂取するよりも一緒にとるといいといわれる栄養素の組み合わせがあります。
どうせ摂るなら相乗効果も同時に狙っていきましょう!
亜鉛×ビタミンC
亜鉛とビタミンCを一緒に摂取することで、体内でのコラーゲンの生成が促進されます。
また2つを一緒に摂ることでタンパク質の吸収率が良くなり、体に良い効果が期待できます。
亜鉛×ビタミンA
亜鉛とビタミンAがお互いに吸収率を高めあいます。
ビタミンAは、レバー、うなぎ、乳製品(牛乳、バター、チーズなど)、卵などに多く含まれており、目に良いビタミンです。
亜鉛×マカ
不妊でお悩みの夫婦が摂取するサプリメントとして亜鉛とマカの組み合わせが有名です。
亜鉛とマカの相乗効果により、妊娠に特化した効果が期待できます。
[blogcard url=”https://jinga-fitness.jp/supplement/maca.html”]亜鉛と相性が悪い栄養素。摂取する際の注意
今度は逆に亜鉛と一緒に摂ると効果が下がってしまう栄養素もあります。
一緒に摂取するとよくない栄養もしっかり学んで、賢く摂取しましょう。
亜鉛を摂取する際の注意とあわせて以下にまとめています。
食物繊維と亜鉛一緒に摂取する時は注意点
食物繊維に含まれるシュウ酸は亜鉛の吸収を阻害する働きがあります。
食物繊維は適切な量を摂取すれば体の不要物排出を促し良く働きますが、推奨量を大幅に超える量を摂取すると、 下痢を引き起こすだけでなく、亜鉛の吸収を邪魔してしまうので、注意が必要です。
食物繊維を含む食品と亜鉛を多く含む食品はいずれも非常に多く、必ずしも組み合わせずに食べることは難しいかもしれません。
しかし、少なくとも1回の食事の中で摂る食物繊維の量を調節して、摂取して亜鉛を全て流してしまうことがないように気をつけましょう。
ポリリン酸を含む食べ物との組み合わせ
ポリリン酸、リン酸塩などのたぐいはレトルト食品やインスタント食品などに含まれるものです。
亜鉛と一緒に摂取すると亜鉛の吸収をおおはばに阻害してしまいます。
鉄と亜鉛の組み合わせ
鉄と亜鉛の吸収は背反で、鉄を多く摂取しすぎると亜鉛の吸収率が下がり、逆も同じように働きます。
大豆たんぱくと亜鉛
大豆タンパク質および他のマメ科タンパク質は、フィチン酸と呼ばれる化学物質を含みます。
実は、この化学物質は、亜鉛を含む微量ミネラル吸収の阻害剤です。
さらに、大豆タンパク質自体が亜鉛の吸収を妨げることもあります。
亜鉛を多く含む食べ物
亜鉛は、肉類や海産物、そして乳製品を含む、タンパク質が多い食品、特に 動物性タンパク質を材料としてつくられる食品に多く含まれています。
亜鉛は穀類や豆類にも含まれていますが、穀物や豆がパンや加工食品などにパッケージ化されて売っているタイプの亜鉛は実際に亜鉛の吸収を妨げるフィチン酸塩と組み合わせられた形で含まれているため、体内で吸収できる亜鉛ではない点に注意が必要です。
上記の例にみられるように、体内で吸収できる形で亜鉛が含まれている食品とそうでないものがありますが、以下にはしっかりと吸収できる亜鉛が含まれた食品を挙げています。
- 牡蠣
- チーズ
- 牛乳
- カボチャの種
- 牛肉
- カシューナッツ
- ヨーグルト
- エビ
- ホウレン草
- ニンニク
- ココアパウダー
- マッシュルーム
- 鶏肉
まとめ
亜鉛には体にもたらしてくれるたくさんの効果が期待できます。。
偏食やダイエットなどで、亜鉛が不足しているなと感じたら、ぜひ亜鉛摂取を意識したメニューを食べてみてはいかがでしたでしょうか?
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