カクッ…!!繰り返してしまう肩の脱臼にお困りの方は少なくないのではないでしょうか?
肩関節の脱臼は一度起こしてしまうと繰り返す方が非常に多い障害です。
では何故繰り返してしまうのか?
原因は何か?
直すにはどうしたら良いのか?
この記事ではそんな肩関節脱臼について詳しく解説していきます。肩関節脱臼について詳しく勉強し、日常生活やスポーツを楽しみましょう。
目次
そもそも肩関節脱臼とは?
まず肩関節とは何か勉強していきましょう。
肩関節とは医学的には肩甲骨と上腕骨を繋ぐ肩甲上腕関節、第2肩関節、肩甲骨と鎖骨を繋ぐ肩鎖関節、胸骨と鎖骨を繋ぐ胸鎖関節、肩甲骨と胸郭を繋ぐ肩甲胸郭関節を含めた複合体を指します。
一般的に言われる肩関節とは肩甲骨と上腕骨を繋ぐ肩甲上腕関節のみを指します。
肩関節は非常に動きの自由度が高い関節です。
肩甲骨の関節窩に上腕骨頭が面しており、これを各インナーマッスルが関節窩に上腕骨頭を引き付けるように機能し、関節として存在しています。
自由度が高いということは逆に言えばそれだけ不安定ということですから、上腕骨頭が肩甲骨関節窩から外れてしまうことが起こります。
これを肩関節脱臼と言います。
肩関節脱臼は非常に頻度の高い脱臼なのです。
脱臼で起こる症状と肩関節脱臼が起きる原因
主に肩が脱臼して起こる症状としては
- 肩の痛み
- 肩が思うように動かない
- 肩が左右違う形をしている
- 肩や手、指に痺れを感じる
このような症状が重複して起こるようであれば脱臼を起こしている可能性が高いです。至急お近くの医療機関を受診してください。
また、筋トレなどをしていて肩が脱臼したという経験がある方も多いのではないでしょうか?
肩関節脱臼が起こる原因としてはよくあるのが下記の3つです。
器質異常
『1.肩関節脱臼とは』で紹介したように肩関節は肩甲骨関節窩と上腕骨頭により構成されています。
関節窩の周りには関節唇と呼ばれる線維性の軟骨の組織が存在し、関節窩と上腕骨頭の適合性を高めています。
肩関節脱臼はスポーツでの外傷や、転倒時に手を着いて発症することが多いですが、この際にこの関節唇を損傷してしまうことをバンカート損傷と言います。
バンカート損傷を起こしてしまうと、関節窩と上腕骨頭の適合が不良になりますので、反復性に脱臼が起こりやすくなってしまうということです
器質的緩み
肩関節は広い可動性を保持するため、構造的には不安定な作りですが、これを筋肉が補助し通常では脱臼することなく私たちは生活しています。
この筋肉は上腕骨頭を覆うように付着し、関節窩と上腕骨頭を安定させるように働いています。
この筋は後程詳しく解説しますが、回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれています。
この筋肉に緩みが生じることで、上腕骨頭を肩甲骨関節窩へ安定させる力が弱くなり、関節窩から外れてしまうという現象が起こります。
器質的アンバランス
関節の周りには関節を包む関節包と呼ばれる袋のような組織が存在します。
関節包は肩関節の動きに伴う上腕骨頭の動きを制動するような働きもしています。
この関節包に短縮や緩みが生じることで組織内のアンバランスが起こり、一方に脱臼しやすい環境となります。
脱臼予防のためのトレーニング
脱臼を予防するためのトレーニング方法としてはインナーマッスルを鍛えるのが最も効果的です。
ではそもそもインナーマッスルやアウターマッスルとは何なんでしょうか?
インナーマッスルやアウターマッスルとは?
インナーマッスルとは深層にある小さな筋肉の総称で、肩関節でいうと
- 棘上筋
- 棘下筋
- 小円筋
- 肩甲下筋
の四つを指します。
これを回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼びます。
これらは深層で上腕骨頭に付着し、肩甲骨関節窩と上腕骨頭を安定させるような働きをしています。
一方、アウターマッスルとは表在にある比較的大きな筋肉の損傷で、肩関節でいうと上腕二頭筋や三角筋を指します。
このアウターマッスルも肩甲骨関節窩と上腕骨頭を安定させるように働いています。
インナーマッスルを鍛えるにはゴムバンドがおすすめ
インナーマッスルは深層にある非常に小さな筋肉です。
それ故、筋力トレーニングと言われて皆さんが思うかべるような、腕立て伏せやバーベル等を使ったトレーニングではアウターマッスルのみが働いてしまいインナーマッスルは働きません。
インナーマッスルトレーニングの基本は低負荷・高頻度と言われています。
一気に筋力をつけたいからと思い負荷を掛けてしまうと、アウターマッスルのみが働いてしまいますので注意しましょう。
ここではゴムバンドを使用した各トレーニングを紹介します。
棘下筋を鍛える方法
椅子に座り両肘を体に着け、肘を90度曲げます。
両手にゴムバンドを持ち一方の手を外側へ開いていきます。この時脇が開かないように注意しましょう。
肩甲下筋、大円筋を鍛える方法
ゴムバンドの端を柱やドアの取っ手等に結びます。椅子に座り、肘を体に着け肘を90度曲げます。
この状態でゴムバンドの端を持ち、手を内側へ動かしていきます。この時、脇が開かないように注意してください。
棘上筋を鍛える方法
ゴムバンドの端を足で踏みます。踏んだ足と同じ側の手でゴムバンドの端を持ち、手を横へ挙げていきます。手を挙げる高さは40度付近までにしましょう。
以上の運動をゆっくりと30回×3セットくらい行えると効果的です。
ゴムバンドは少し柔らかいかな?と思うくらいで構いません。
ゴムバンドはホームセンターやスポーツショップで購入できますので興味のある方は覗いてみてください。
また、購入してまでは…と思う方は500mlのペットボトルに水を入れ手に持ち行っていただいても構いません。
肩甲骨・胸郭も大切
肩関節は肩甲骨と上腕骨だけでなく、鎖骨や胸郭の動きも重要になってきます。
これらの可動性を高めておくことで、関節自体へ掛かる負担も軽減します。各種ストレッチを行い、体幹の可動性を高めておきましょう。
肩関節脱臼予防の生活
肩関節の脱臼は普段の生活でもなりやすいので予防する意味でも注意したい点がいくつかあります。
避けるべき動作
肩関節は非常に不安定な関節です。
また前の項で説明したように、バンカート損傷をしている場合、再脱臼の可能性が非常に高くなります。
基本的には肩よりも後ろで手を使用する行為は肩関節の再脱臼を誘発しますので注意が必要です。
具体的には、
- 座っている際に手を後ろへついて体を支える
- ブラジャーのホックや洋服の背中のファスナーの開閉
- 寝る際に頭の下で手を組む
- 寝る際に両手を上へ挙げる
このような行為は再脱臼を引き起こしますので絶対に避けましょう。
日常生活でふとした瞬間に行ってしまうことばかりです。
特に脱臼後3か月は再脱臼しやすい時期ですので気を付けてください。
肩に負担を掛けないようにするには?
肩に負担を掛けないようにするためには、日常生活での少しの工夫が必要です。
- 荷物は反対の手で持つ
- 悪いほうの手はポケットに入れる(肩へ掛かる手の重みが軽減されます)
- 寝るときに悪い方を下にして寝ない
- 良い立位姿勢を保つ
上記は面倒でも少しの気遣いが肩へ掛かる負担を減らしますので参考にしてください。
まとめ
肩関節脱臼はその構造故、非常に発生頻度の高い脱臼です。また一度起こると繰り返し起こる可能性が非常に高くなります。
反復していくと、どんどん頻度が上がり寝返りを打つ、くしゃみをするといった日常の何気ない動作においても脱臼してしまうようになります。
肩関節脱臼を起こした場合はまずお近くの整形外科を受診して整復してもらうこと、そしてその後のケアがとても大切になります。
そしてどうしても繰り返し起こる場合は手術の適応を検討したほうが良いこともあります。
この障害はスポーツをしている方にとても多い障害です。
健康寿命延伸を叫ばれる今日この頃、障害スポーツが出来る体作りは障害においてとても大切になります。
日頃のケアをしっかりして楽しいスポーツ生活を再び取り戻しましょう!
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