「成長ホルモン」は人間の成長に絶対に欠かすことが出来ない非常に大切なホルモンです。
約3kg程度しかない赤ちゃんがおよそ20年かけてその体重が20倍近く大きくなるのも、この成長ホルモンの働きがあってこそです。
しかし、この成長ホルモンは成長期にある子どもだけでなく、既に成長しきった私たち大人の身体の中でも大切な役割を担っているのです。
この記事ではそんな成長ホルモンの特徴や効能から上手な活用方法を紹介します。
なんとなく成長ホルモンって言葉は知っているけど、あまり詳しく知らないって人は参考にしてみてください。
目次
そもそも成長ホルモンって何?
成長ホルモンとは、人間の場合は「ヒト成長ホルモン」などと呼ばれ、hGH(human growth hormone)などと表記されることがあります。
脳下垂体前葉のGH分泌細胞から分泌されるこの成長ホルモンは、その名前からも分かるように主に人間の成長に関する身体機能をコントロールする働きがあります。
成長ホルモンの分泌不全による低身長症に対して、外部から投与(注射)されることがありますが、スポーツ選手がこれを使用した場合に対しては、多くのスポーツ団体でドーピング認定がされてしまうので注意が必要です。
特にスポーツを行なわない場合にはそこまで問題はありませんが、個人で投与するには生体内のホルモンバランスを大きく崩してしまう恐れがあるため、専門家の指導の元行なうことが適切です。
主に美容外科などで処方される場合があります。
成長ホルモンの主な効能は?
さて、では早速詳しい効能について見ていきましょう。
基本的に成長ホルモンは直接的、もしくは関節的(肝臓にIGF-1の分泌を命令し、IGF-1が成長ホルモンの様な働きをする)に様々な体組織に働きかけ、その部位の成長を促進します。
まずは名前からも分かるように、身体の成長については主に以下のことが挙げられます。
- 身長を伸ばす
- 筋肉を大きくする
また、同じ組織を作る(成長させる)という効果は、美容業界から注目を集めていて、主に以下のような効果が期待できます。
- バストアップ
- 肌をきれいにする
これら全ての効能は全て「成長」という言葉で言いまとめることが出来ますが、成長ホルモンはこれらを実現するために様々な器官に様々な方法で働きかけているのです。
- タンパク合成を活性化
- 体脂肪の分解を促進
- カルシウムの吸収を改善
- 血糖値の上昇
- IGF-1の分泌促進
などなど、これらが成長ホルモンの主な効能です。
成長ホルモンによる筋トレへの効果
上記の効能を見てもらえば分かるように、筋トレで筋肉を成長させることにおいても成長ホルモンは絶対に書かせない存在です。
筋肉を大きくする
成長ホルモンが筋肉の合成を活発にするためには、まずアミノ酸の吸収が活性化されます。
その後、これらの取り込まれたアミノ酸が筋肉として合成されます。
体脂肪の分解を促進
筋トレをしていると、筋肉が大きくなるのと同時に体脂肪を燃焼されているような効果を感じることが出来ます。
厳密には筋肉の合成と体脂肪の分解が同時に起こることはありえないのですが、これら2つの身体の変化が主な筋トレの目標かつ、成長ホルモンによる効果なのです。
後ほども詳しく解説しますが、筋トレは成長ホルモンを分泌させるのに非常に適した運動です。
筋破壊を起こすことに加え、血流が制限されるほどのハードなトレーニングを行なうことで成長ホルモンの分泌が促され、筋肉が肥大していくのです。
成長ホルモンの分泌を促すおすすめの方法
成長ホルモンは年齢を重ねるごとに分泌量が低下していってしまいます。
しかし、健康的な生活を行なうことで成長ホルモンの分泌を促すことが可能です。
筋肉にも、美容にも、健康にも非常に効果的ですので是非、以下で紹介することを実践してみてください。
筋トレを行う
重たいウエイトを用いて身体を鍛える筋トレでは、大きな肉体的ストレスが身体にかかりますが、こレに対する抗ストレス反応として、成長ホルモンを含む様々なホルモンが分泌されます。
トレーニング直後に筋合成が活発になる「ゴールデンタイム」という仕組みも、これらのホルモン分泌によるものです。
一見全く関係の内容に思えますが、筋トレのようなハードなトレーニングを行なうことで美容効果も期待できます。
タンパク質豊富な食事
成長ホルモンは191個のアミノ酸により合成されています。
このアミノ酸が不足してしまっては、そもそも成長ホルモンを合成することができなくなってしまいますので、アミノ酸の減量であるタンパク質をまずはしっかりと摂取しましょう。
また、同じタンパク源のみからタンパク質を摂取すると、特定のアミノ酸が欠乏してしまうことがあります。
アミノ酸が1種類でも欠乏すると、成長ホルモンや筋肉、酵素といったアミノ酸により構成される様々な組織や成分が合成できなくなってしまいますので
- 肉
- 魚
- 野菜
- 豆
- 穀物
といった様々な食品からタンパク質を摂取するようにしましょう。
睡眠の質を良くする
「寝る子は育つ」という言葉があるように、質の良い睡眠を取ることで成長ホルモンの分泌が促されるので
- 筋合成が活発になる
- 身長が伸びる
- 肌が綺麗になる
といった効果を期待することが出来ます。
大切なのは睡眠時間よりも、睡眠の”質”です。
睡眠中は睡眠の浅いレム睡眠と、睡眠の深いノンレム睡眠に分類することが出来ますが、成長ホルモンの分泌を促し筋合成を進めるためには、睡眠の深いノンレム睡眠をしっかりと確保する必要があります。
昼寝などをしてしまうと、夜の大切な時間(ノンレム睡眠に入りやすい時間)に眠れなくなってしまうのでおすすめできません。
空腹を避ける
食事を取らない時間が続き、空腹になると血糖値が低下します。
この時、血糖値を正常値まで上昇させるために様々なホルモンが分泌されるのと同時に成長ホルモンも分泌されます。
しかし、この方法で成長ホルモンの分泌を促進することがおすすめできません。
低血糖により分泌されるホルモンはカタボリックホルモンがほとんどですので、筋肉が分解されてしまう可能性が高くなります。
さらに、栄養失調で体調を崩してしまう場合があるのでしっかり食事を摂取しましょう。
アルギニンの摂取
アルギニンは成長ホルモンの分泌を促進する効果のあるアミノ酸です。
アルギニンは体内で合成することが出来るために、非必須アミノ酸に分類されますが、
子供の身体では上手に合成することが出来ず、また成長ホルモンの分泌量が多くアルギニンの必要量も多いために、食事から摂取することが勧められています。
この様なアミノ酸を条件付き必須アミノ酸、もしくは準必須アミノ酸と呼ばれます。
特に子供の成長を促進させることの出来るアルギニンは、サプリメントとしての摂取でも構いませんが、抵抗がある方は肉類、大豆などに多く含有されていますのでこれらの食品を摂取するように心がけてみて下さい。
成長ホルモンと子供の関係性について
特に子供の成長を促したい場合には、上記の
- 食事
- 睡眠
- アルギニンの摂取
これらについて管理することをおすすめします。
まだ骨の完成していない15歳以下の方の場合、ハードな筋トレをしてしまうと腱や関節を痛めてしまう恐れがあります。(高校生以上であれば問題なし)
同様に空腹により成長ホルモンの分泌を促す方法も、成長期で栄養素の必要量が増えているのででおすすめできません。
タンパク質、亜鉛を多く含む食事を心がけ、睡眠が深くなる夜によく眠るようにしましょう。
また、アルギニンを多く含む肉、大豆といった食品の摂取も欠かせません。
成長ホルモンの分泌を促すおすすめの食材
成長ホルモンの分泌を促進する栄養素は
- タンパク質
- アルギニン
- 亜鉛
です。
これらを満遍なく含む食品は
- 魚介類
- 肉類
- 大豆
ですので、これらの摂取を心がけましょう。
特に、睡眠前に亜鉛を摂取することで睡眠の改善や成長ホルモン分泌の効果が期待できますので、睡眠前は特に亜鉛を多く含む「魚介類(特に貝類)」を摂取することをおすすめします。
しかし、これだけでは成長ホルモンの恩恵をしっかりと受けることはできません。
いくら成長を促進させるホルモンが多く分泌しても、実際に材料となるタンパク質やそれの合成をサポートするビタミン類が足りていないと筋肉は大きくなりません。
成長ホルモンの分泌を促すためにタンパク質は摂取していることかと思いますが、それの合成をサポートするビタミン類をしっかりと摂取しましょう。
- 筋合成のサポートするビタミンB6
- 肌の合成をサポートするビタミンB2
- 皮膚や髪の毛の合成をサポートするパントテン酸
- 骨の形成をサポートするビタミンD
など、様々なビタミン類も合わせて摂取する必要があります。
豚肉、ブロッコリー、玉ねぎ、大豆、かつおなどにこれらのビタミンが含まれているので是非、合わせて食べるようにしましょう。
成長ホルモンのためのおすすめサプリメント
成長ホルモンそのものを販売している会社もいくつか見つけることが出来ますが、これは筋肉増強剤で知られているステロイドと同じように、体内で合成するべきホルモンを体外から無理やり投与してしまう形になります。
これによりホルモンバランスが大きく崩れてしまうので、成長ホルモンの投与はおすすめしません。実際に行う場合は必ず専門家の指導の元、行なうようにしてください。
ここでは、成長ホルモンの投与以外の方法で、成長ホルモンの分泌を促すサプリメントを紹介します。
ZMA
ZMAは亜鉛、マグネシウム、ビタミンB6が混合されたサプリメントです。
これらは特に成長ホルモンを分泌させ、筋肉を合成させるために必要な栄養素たちで、睡眠前に摂取することで効果を発揮します。
成長ホルモンを分泌させ、筋肉を大きくしたい方におすすめです。
アルギニン
上記でも紹介したようにアルギニンは成長ホルモンの分泌を促進させる効果を持ちます。
他には血管拡張効果により、パンプアップをより強烈にさせる効果もあるので、摂取タイミングはトレーニング前、睡眠前の2つがおすすめです。
まとめ
成長ホルモンは人間の健康を保つ、いわば万能ホルモンです。
筋肉を大きくしたい方も、ダイエットしたい方にも必要なホルモンですので、是非今回紹介した成長ホルモンの分泌を促す方法を実践してみてください。
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