テニスのパフォーマンスを上げるために筋トレを取り入れいるという人も多いのではないでしょうか?
昔より、筋トレの重要性に気づいている指導者の人も多いと思うので、何かしらのトレーニングはしている人もいるでしょう。
しかし、筋トレは闇雲に行っても意味がありません。しっかりと、目的を持って行わないとただ、疲れるだけの運動になってしまう場合があります。
そこで、この記事ではそんなテニスのパフォーマンス向上のための筋トレを紹介していきます。
目次
そもそもスポーツのための筋トレの効果は?
スポーツのパフォーマンス向上のための筋トレは、筋肉を大きくするための(フィットネス)トレーニングとはまったく別物なので、
- メニューの組み方
- フォーム
- 意識
これらがまるっきり違っていきます。
フィットネストレーニングでは、筋肉を大きくするために筋破壊をすることを目的としています。
その為、筋肉が辛くなるようなフォームでトレーニングをし、筋肉が疲労するようにという意識でトレーニングをします。
しかし、スポーツでも全く同じように筋トレを行なうと、筋肉は膨れ上がりますが、効率の良い動きができない、いわゆる”使えない”筋肉が出来上がってしまいます。
これではせっかく筋トレをしても無駄になってしまいます。(無駄ではないですが、思うように動けなくなります)
では、スポーツのための筋トレはどのようなことを目的とし、どのようにトレーニングすればいいのか。
以下がスポーツのためのトレーニングを行なう目的です。
筋力を向上させて自分の身体の操作性を向上させる
これは非常に単純なので、わかりやすいかと思います。
筋力が向上すると、ジャンプ力が高くなったり、ラケットを振るスピードが早くなります。
これらをまとめて操作性の向上といいます。
単純に筋力が上がることで、身体の操作性が上がるということです。
筋持久力を向上させて疲れにくい身体を作り上げる。
フィットネストレーニングでは、疲れさせることを目的としているので、適切な重量で適切な回数で筋肉を疲労させることができるトレーニングが優秀なトレーニングです。
しかし、スポーツの場では簡単に疲労してもらっては困りますよね?そこで筋トレで持久力を向上させます。
疲労しない身体は長時間運動を続けられるという利点の他に、怪我をしにくくなるという利点があります。
神経を発達させて正しい動きを学習する
上記2点は意識されている人も多いと思いますが、最後のこの目的を疎かにしてしまう人が多いです。
しかし、最後にして最重要の目的ですのでしっかりとこれについても熟考してください。
負荷を用いたウエイトトレーニングでは、筋力を向上させる他に神経を活発にさせる効果があります。
ボディビルダーが胸をピクピクさせたりしているのを見たことはありませんか?
マッスルコントロールと呼ばれる技ですが、筋トレをハードに行なったためにその筋肉の神経が活発になります。
脳からの司令を筋肉に伝える神経が発達すれば、筋肉はより細かい運動を行なえるようになります。
また、キネティックチェーン(運動連鎖)も筋トレによる神経の発達で鍛えることができます。
例えば、右利きの選手が右のフォアスイングを行なうとしましょう。
右のフォアスイングはまず、右足を地面に踏ん張り外旋方向に力を入れることにより運動が開始します。
この、脚から生み出された回転エネルギーが骨盤を回転させますが、それを上半身に伝えるために体幹部(主に右腹斜筋群)が強く緊張します。
その後、胸郭が回転し胸筋群、肩、上腕筋群などが順番に収縮することでラケットがスイングされます。
ちょっと難しいと思いますが、筋収縮の順番を簡単にまとめると。
右脚(大腿部、臀部)
↓
体幹部
↓
左背部
↓
右胸部
のようになります。
このように動きを分析して、それに似たトレーニングを行なうことで実際のフォアスイングで使われるキネティックチェーンを鍛えることができます。
今回は実際にテニスの動きを分析して、それぞれのムーブメントの強度、正確さを向上させるためのトレーニングメニューを紹介していきます。
テニスで覚えておきたい3つの動き(ムーブメント)
どんなトレーニングが効果的なのかを考える前に、テニスには実際にどんな動きがあるのか分析する必要があります。
今回はテニスの動きを分析した結果、大きく3つのムーブメントに分類したので紹介します。
ムーブメント1 – チェンジオブディレクション
コート内でボールを追いかける運動です。
ボールに対してリアクションし、方向を定めスタートを切る。
ボールを返したあと、コートのセンターへ戻る。もしくは、またボールが来るであろう方向へ方向転換する。
このようなコート内で縦横無尽に自分の身体を動かすムーブメントを、今回はチェンジオブディレクションと名付けました。
ムーブメント2 – スイング
テニスの最も優雅で人を魅了するであろうムーブメントです。
フォア、バック、スマッシュ、、、
様々なスイングの方法がありますが、運動の性質は同じ(上腕部の強烈なスイング運動)ですのでまとめました。
ムーブメント3 – アンチローテーション
見落としがちですが、大切なムーブメントです。
アンチ(抗)ローテーション(回転運動)とは、スイング後、素早くニュートラルの姿勢に戻るためのムーブメント(大袈裟な動きはありませんが)です。
スイングは回転運動ですので動きが終了した後も遠心力が残ります。
この遠心力をこらえ、次の運動へ移行するためのムーブメントがこのアンチローテーションになります。
スイングが強烈になればなるほど遠心力も強くなるので、より強いアンチローテーションが求められます。
アンチローテーションがしっかり鍛えられていないと、スイング後の動き出しが遅くなってしまうのはもちろん、遠心力により身体がねじれて怪我をしてしまう恐れがあります。
今回紹介するトレーニングはこれらの3つのムーブメントを強化するためにフォーカスしたものです。
では紹介していきますね!
自分の身体を動かす強化をする筋トレメニュー4選
スクワット
全てのムーブメントの基本となるパワーポジションを強化します。
ボディビルダーのスクワットのように深くしゃがみ込む必要はありません。
自分が最も力の入るポジションで動作しましょう。
方向転換やスタートダッシュのように加速する運動は、脚で地面を押す動きが起点になります。
スクワットでは、この脚で地面を押して身体を前進させる運動を強化します。
フロントランジ
直立の姿勢から片足を一歩前に出ししゃがみ込み元の位置もどる運動であるフロントランジでは、前方向でのストップ動作の強化を図ります。
前に動いている重心を前足でしっかり踏ん張り受け止めます。
その後、前足を前に強く蹴り出して重心を元の位置(後方)へ戻します。
前に反応した後に素早く後ろへ戻る、という運動を強化します。
ラテラルランジ
フロントランジの横バージョンです。
テニスでは特に横に振られることが多いために、フロントランジより重要視してトレーニングしましょう。
違うムーブメントですが、スイング動作でもラテラルランジのような身体を横に押し出す運動を使います。
斜め横にスクワットをして、地面を押すように動作しましょう。
ワンハンドダンベルロウ
方向転換をするときには、まず身体を進行方向へ回転させます。
その時に重要になってくるのが、腕を強く引いて上半身を回転させるという動作です。
このトレーニングでは、重すぎる重量は使わず瞬発的に腕を強く引くように意識してください。
慣れてきたら腕を引く動作に合わせて胸郭を少しだけ回転させてみましょう。
スイングを強化するための筋トレメニュー5選
インターナル/エクスターナルローテーション
エクササイズバンドや軽重量のケーブルを使って鍛えます。
これにより鍛えられる筋群はローテーターカフと呼ばれる肩関節安定の働きを持つ筋群です。
テニスのように腕を強く振るスポーツ(他には野球やバレーボールなど)では、肩の怪我を避けるためにもこれらの筋群のトレーニングは必須です。
ケーブルクロスオーバー
胸を開いた状態から閉じる運動はラケットを横向きにスイングする時の動作です。
同じような種目でダンベルフライが挙げられますが、起立した状態(背もたれがない)状態で行なうこちらのトレーニングのほうがよりテニスに近い運動ですので推奨します。
慣れてきたら片腕づつ行なってみましょう。
ワンハンドダンベルショルダープレス
この種目はしっかりと重量を感じるダンベルを使います。
フィットネストレーニングのように肩だけで挙げるのではなく、脚で地面を押す力を利用してダンベルを押し上げましょう。
スイング動作を分割した場合の、下半身の回転を上半身に伝えるというフェーズのトレーニングです。
ダンベルを持っていない方の腕は全く逆の運動を行ないます。
スタートポジションでは手を高く挙げて構え、ダンベルを逆腕で押し上げるのと同時に下に強く引きましょう。
回転力を向上させます。
ケーブルランバージャックス
正に回転のトレーニングです。
逆方向に引き込まれないように、脚でしっかりこらえましょう。
スイングの回転動作とアンチローテーションを強化します。
バンドヒップローテーション
スイングの運動にもっとも近いであろうトレーニングです。
上のトレーニングで学習した運動を全てここで発揮するようなつもりでトレーニングしましょう。
エクササイズの細かいやり方については説明が非常に複雑ですので、上記の動画を見てみてください。
アンチローテーションのための筋トレメニュー3選
プランク/ラテラルプランク
まずは体幹部の正しい固定の仕方を学習しましょう。
腹筋群とその拮抗筋である臀部の筋肉を適度に緊張させて、まっすぐな姿勢をつくります。
ラテラルプランクでは身体がくの字に折れてしまいがちなので、しっかりと臀部にも力を込めて正しい姿勢を作ります。
慣れてきたら、プランクからラテラルプランクへ素早くポジションチェンジします。
素早く動きつつもしっかりと姿勢を安定させましょう。
アンチローテーションのトレーニングは怪我を防ぐことが第一目的ですので、このような一見地味なトレーニングが続きます。
ラテラルバンドブリッジ
横から引っ張られるようにエクササイズバンドを手で保持したまま、ヒップリフトの要領でブリッジを作ります。
身体が回転しないように、臀部でしっかりと腰を安定させましょう。
簡単にできるようになったらバンドの張力を増やしたり、片足でもチャレンジしてみましょう。
サイドボールタップ
壁にメディシンボールをリズムよくぶつけるだけのトレーニングですが、正しい姿勢で行なうことがとても大切になってきます。
腕だけでボールを投げるのではなく、体幹部から身体を若干回転させるように細かい動きの中でもダイナミックに行ないましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
スポーツとフィットネスのトレーニングは全く別物ですので、余り見たことのないエクササイズが沢山あったかと思います。
筋肉を大きくすると、力がアップしパフォーマンスが向上するように思いますが、スポーツは非常に複雑で奥が深いために、筋力だけ鍛えているだけではいけません。
上記で紹介した3つの目的をしっかりと意識し、テニスに合った筋肉トレーニングに励んでくださいね!
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