若干体重が増えつつあるジンガー(@Jinga_fitness)です。
いきなりですが、インテルFC所属の長友佑都選手が取り組んでいることで有名なケトジェニックダイエットをご存知でしょうか。
このダイエット方法は今現在、推奨されているダイエット方法の中で最も困難と言っても過言ではありません。
しかし、単に根性論で痩せるというわけではなく、科学的にもしっかりと結果が裏付けされた健康的なダイエット方法です。
実際に私も17kgのダイエットをした時は少しケトジェニックダイエットも試しました。

ケトジェニックダイエットは制限事項をきっちりと厳守する必要があり、仮に守らなかった場合は健康に害を及ぼす恐れがありますので、しっかりと方法を勉強した上で丁寧に取り組むことが重要です。
ここではそんなケトジェニックダイエットについてのやり方などを紹介していきます。
ジンガー
目次
ケトジェニックダイエットとは?
ケトジェニックダイエットは一言でいうと「炭水化物抜きダイエット」のことです。
炭水化物とは糖質と食物繊維のことですが、ここで言う炭水化物は糖質を指します。
なので、簡単に言うとケトジェニックダイエットとは糖質(甘いもの)を食べないダイエット方法と考えてください。
こんな食事です。
私たちの身体の主なエネルギー源はグルコース、つまり糖質です。
この糖質が
- 異常なまでに枯渇した状態
- 身体に何か異常が発生し糖質をエネルギー源として使えなくなった場合
などは脂肪酸が主なエネルギー源として利用されます。
簡単に言うと、ケトジェニックダイエットでは
”糖質をエネルギー源として利用できない身体の状態を故意に作り出し、脂肪酸を主なエネルギー源として利用することで体脂肪をどんどん消費しよう”
と言うものです。
なぜ糖質オフダイエットがブームになったのか?
しかし、甘いものを控えて痩せるなんて何の目新しさもないですよね?
何でそんなダイエット方法が今になって話題になっているのかというとケトジェニックダイエットは”糖質だけ”を我慢するダイエットだからです。
どういうことかというと、今まで食事制限でダイエットする場合には摂取する総カロリーを抑えるダイエット法が主流で、糖質と同時に脂質も制限するという方法が一般的でした。
そうなると総カロリーを計算する必要もあり面倒ですし、甘いものが食べられない上に揚げ物なども食べれないので、かなり食べるものが制限されて、我慢が必要。
しかし、ケトジェニックダイエットでは脂質は気にせずに摂っていいんです。(とは言っても限度はありますが)
そうなると当然、から揚げや霜降りの牛肉、ハンバーグなども食べていいということになります。(ただし、糖質が含まれている調味料は気をつける)
タンとかも全然食べてOK!
そのため、ダイエットのために食べてはいけないものがかなり減り、やり方も糖質を我慢するだけという単純明快な方法のでブームになったというわけです。
ジンガー
ケトジェニックダイエットの仕組みについて
ではそんなケトジェニックダイエットですが、どのような仕組みで体重が減っていくのかをまずは知りましょう。
人間の身体ではタンパク質、脂質、炭水化物、これらの三大栄養素は全てエネルギーとして利用することが可能です。
糖質の場合、解糖系という代謝経路を経てピルビン酸へ、その後アセチル-CoAへと代謝されます。
アセチル-CoAはTCA回路を循環させるうえでの始まりの物質ですので、これがTCA回路へ入りその後、電子伝達系というエネルギー産生経路まで循環することによりエネルギーを産生します。
脂質はβ酸化という代謝経路を経てアセチル-CoAになり、その後は同じようにTCA回路、電子伝達系へと循環しエネルギーを産生します。
タンパク質の場合は、エネルギー産生の代謝経路により
- 糖原性アミノ酸
- ケト原性アミノ酸
の2種類に分類することできます。
そして、タンパク質特有の原子であるN(窒素)を抜き取られる「脱アミノ化」がおこなわれ、その後、
- 糖原性ならば糖質
- ケト原性ならば脂質
としてエネルギー産生代謝されアセチル-CoAに変換。
このように3つの栄養素とも、最終的にはアセチル-CoAへと代謝されることによりエネルギーが産生できる仕組みとなっているのです。
基本的には糖質を摂取しない
ケトジェニックダイエットでは糖質をエネルギー源として利用できない身体の状態を作り出すために、糖質の摂取を極端に制限します。
メインのエネルギー源である糖質が欠乏した身体はまず糖新生と呼ばれるタンパク質から糖質を作り出す代謝をおこないます。
しかし、この代謝経路は緊急時のためのもので非常に効率が悪く、糖新生のみで必要量の糖質を産生することはできません。
そうすると徐々に身体の糖質量が減っていき、血糖値が低下。
血糖値が極限まで低下すると、血糖値を下げる働きを持つホルモンのインスリンが分泌されなくなります。
解糖系によりエネルギーを産生するために、血糖を細胞内へ取り込む働きを持つGULT4がインスリンレベルの低下に合わせて機能が停止。
この状態に陥ると、身体は糖質をエネルギー源として活用できなくなるというわけです。
ケトン体を多く作り出す
解糖系によりアセチル-CoAを産み出す経路を失われた身体は、必然的にβ酸化によるアセチル-CoA産生に頼らざるを得なくなり、こちらの代謝が活発になります。
細胞は脂肪酸を取り込みエネルギーを産生し活動することができますが、唯一脂肪酸を細胞内に取り込むことが出来ない臓器があります。それは脳です。
通常、脳は脳関門と呼ばれる物質交換の窓口を通して、糖質であるグルコースを取り込みエネルギーを産生しています。
よく、甘いものを食べると脳が活性化されるというのは、甘いものには糖質が多く含まれているからです。
ただ、この脳関門を第二のエネルギー源である脂肪酸は通ることができません。
そこで、産み出されるのがケトン体です。
肝臓内のミトコンドリアで脂肪酸を代謝しアセチル-CoAを作り出した後、それらは同じ肝臓内で3-ヒドロキシ酪酸あるいはアセト酢酸へと変換されます。
この2つの物質を総称してケトン体とよびますが、ケトン体となったアセチル-CoAは血管へ放出され様々な器官でエネルギーとして利用されます。
このケトン体は脂肪酸の状態では通過できなかった脳関門を通ることができますので、脳のエネルギー源として活用できるのです。
脂肪酸を各細胞でβ酸化しエネルギーを産生するのではなく、一度肝臓でβ酸化させその後ケトン体という形に変換し血管へ送り出します。
その後、各細胞がケトン体を取り込みアセチル-CoAへと戻しTCA回路、電子伝達系を循環させることでエネルギーを産生するのです。
ケトーシス状態を作る
この状態に陥った身体は血液中のケトン体の濃度が通常よりも過度に上昇しています。
これをケトーシス体質、もしくはそのままケトーシスと呼びます。
ケトーシスになった身体はエネルギー源であるケトン体を産み出すために体脂肪を分解し、肝臓でβ酸化させケトン体を産生する必要があります。
これにより、身体は積極的に体脂肪を燃焼しますので、ダイエットが成功するというわけです。
ケトジェニックダイエットの3つのメリット
そんなケトジェニックダイエットのを行うメリットしては下記の3つです。
- 空腹を感じにくくなる
- 頭が冴え眠気がなくなる
- 肌荒れ防止や睡眠の質がよくなる
ケトーシスになると頭が冴えるという方も多く、よく昼飯後は眠気が来て仕事が捗らなかったという人にはおすすめです。
また、ローファット(脂質制限)と違い空腹感も炭水化物を主なエネルギーにしていたころより出なくなります。
他にも肌荒れがなくなったり、睡眠が深くなったなどの報告もあります。
単に痩せるだけでなく、その他のメリットが多いダイエット方法と言えるでしょう。
デメリットはお金がかかる
ケトジェニックダイエットのデメリットとしては、主食を抜く分他の食材を食べる量が増えるため、食費は増えてしまうでしょう。
なんといっても炭水化物である、米、パンなどは肉や魚に比べれば安いですからね。
実際に私もケトジェニックダイエット中は食費が1.5倍くらいは増えました。
それに、家庭があるとどうしても食事が偏るのでその点もデメリットかもしれません。
また、ケトン体が増えると人によっては獣臭くなる場合があります。
これはケトン臭と言って、肉食動物独特の臭いと言われています。
ただ、グルタミンや抗酸化作用があるビタミンEなどのサプリメントを摂ることによって匂いは軽減されるので、ケトン臭が気になった時には同時に摂取すると良いでしょう。
ケトジェニックの筋トレへの影響
ケトジェニックダイエットに加え、筋トレに取り組みダイエットの効果を更に高めようとしている人はいませんか?
素晴らしい取り組みですが、正直な話、ケトジェニックダイエットと筋トレの相性は悪いです。
ケトジェニックダイエットにより、ケトーシス体質になった身体のエネルギー源はケトン体です。
ケトン体によりエネルギーを産生する経路はTCA回路と電子伝達系ですが、これは好機的環境でないと働きません。
つまり、ケトン体によりエネルギーを産み出すためには「酸素」が必須なのです。
ウエイトを使った強度の高い筋トレでは、無酸素運動のエクササイズがほとんどです。
本来、筋トレではATP-PCr系というクレアチンを用いた経路と、解糖系でのエネルギー産生が主な形になります。
この2つのうちの1つ、解糖系でのエネルギー産生が失われた身体では、本来の筋力が発揮されることは難しいです。
体内のクレアチンレベルを高めることでATP-PCr系のエネルギー産生が活発になり多少の抵抗はできますが、筋力が著しく低下してしまうことに変わりありません。
ケトジェニックダイエットをしたら、筋力が下がったという人が多いのはこのためです。
ですが、すべての人が筋トレを行なうことでダイエットに悪影響を与えるという話ではありません。
可能な範囲で無理をせず、筋力が低下しようとも焦らずに筋トレに励むことで更なるダイエット効果を望めます。
筋トレへの影響を最低限にするために
上記でも少し書きましたが、クレアチンレベルを高めることで筋トレでの筋力低下を最低限にすることができます。
その他にはケトーシス体質ということで、主なエネルギー源は脂肪酸となりますが、ケト原性アミノ酸もエネルギー源として活用されてしまいます。
筋分解を防ぐためにもケト原性アミノ酸を積極的に摂取していくことが必要です。
特に筋トレと関係深いケト原性アミノ酸として、ロイシンが挙げられます。ロイシン単体、もしくはBCAAとして摂取すると効果的です。
ジンガー
ケトジェニックダイエットのやり方
では次はケトジェニックダイエットの具体的な方法を解説していきます。
全体の摂取カロリーがどの栄養素に何割、由来しているかを示すPFCバランスと言うものがあります。
- P→タンパク質
- F→脂質
- C→炭水化物(糖質+食物繊維)
ケトジェニックダイエットはPFCバランスにして、
- 脂質の割合が60%
- 糖質が20g以下
- 残りがタンパク質
というのがケトジェニックダイエットの目安になります。
では実際に例にしてみましょう。
総摂取カロリーが2,500kcalの場合。
60%は脂質から摂取するので、2,500kcal×60%=1,500kcalを脂質として摂取します。
脂質は1gで9kcalの熱量を持ちますので、1,500/9=166
つまり166gの脂質を摂取する必要があります。
炭水化物の限界摂取量は20g以下で、カロリーにすると炭水化物は1gで4kcalなので、20/4=80kcal
残りがタンパク質になります。
2,500kcal-1,500kcal-80kcal=920kcal
920kcalをタンパク質として摂取する必要があるため
920/4=230g
230gのタンパク質を摂取してください。
20gの炭水化物というのは、おにぎりで例えると約半分以下です。
これがケトジェニックダイエットのPFCバランスから行う基本的な方法です。
ケトジェニックダイエットの注意点
166gの脂質というのも異常な数字で、通常の食生活では存在し得ない数字ですが、ケトジェニックダイエットの場合、脂質の摂取量を高めることでスムーズにケトーシス体質に変わる事ができます。
ただし、最も危険なのが
- 炭水化物の量を上手に制限できなかった
- 脂質の摂取量が少なかった場合
この2つです。
身体はケトーシスに入れず、炭水化物の摂取量が少ないので低血糖状態が続き空腹が抑えられない他、めまいが発生する場合があります。
ケトーシスに入るまでに約3日程度かかりますが、この間は炭水化物を可能な限り制限し、多少カロリーがオーバーしても構わないので、脂質をとにかく大量に摂取する必要があります。
この時はほとんど糖質は0gくらいにするのがおすすめです。
一度ケトーシスに入れば、その後空腹に襲われる心配などもありませんが、炭水化物の摂取量が増えると再び糖質をエネルギー源とした体質に戻ってしまうので注意してください。
ケトジェニックダイエット中におすすめの食品やサプリ
160gを越える多量の脂質を摂取する際、動物性の質の悪い脂である飽和脂肪酸を大量に摂取してしまうことは避けましょう。
以下、ケトジェニックダイエットにおすすめのサプリや食品ですので参考にしてください。
MCTオイル
中鎖脂肪酸というエネルギーとして活用しやすい脂質で出来ています。ケトーシスにスムーズに入るためには必須の食品です。
魚油(良質な油)
EPAやDHAという体脂肪を燃焼する働きを持つ脂質です。
魚を食べることでこれらの脂肪酸に加えタンパク質も摂取できるので積極的に摂取していきましょう。
僕はちょっとめんどくさいのでサプリなどを活用していました。
ナッツ類
実はナッツ類も脂質を多く含む食品です。脂質に加えビタミンなどが豊富な栄養の塊です。
上記のような良質な脂質を多めに摂取し素早くケトーシス体質を作り出す必要があります。
ビタミン・ミネラル
ケトジェニックダイエットに限らず、ダイエット中はビタミンやミネラルが不足しがちになります。
食材からすべて摂取しようとなると大変なので、サプリを上手に活用しましょう。
食物繊維(デキストリン)
食物繊維もダイエット中は不足しがちになる成分の1つです。
特にケトジェニックダイエット中は、糖質を摂取しないので同時に食物繊維の摂取量も減ってしまいます。
できるだけ食材などから摂取するように心がけ、足りてないと感じる場合は、粉状の難消化性デキストリンやイヌリンなどを活用しましょう。
個人的には、味があまりない難消化性デキストリンがおすすめです。
プロテイン
タンパク質もかなりの量が必要になりますので、プロテインパウダーでの摂取をおすすめします。
普段の食事に追加してタンパク質を摂取したい場合は、筋トレをしない人なら腹持ちのよい大豆プロテインがいいかと。
中でもSPIといった炭水化物がしっかりと濾過された高品質な大豆プロテインを選びましょう。
筋トレをしている方はホエイプロテインを飲んでいると思いますが、是非WPIを選んでください。
濾過の甘いWPCのには炭水化物が多く含まれているためケトジェニックダイエットには不向きです。
できればWPIのプロテインを選びましょう。
αリポ酸
これは必須というわけではないですが、αリポ酸を摂取することでインスリン感受性を高めることができるので、よりケトーシス状態になりやすい状態になります。
そもそもαリポ酸には、抗酸化作用がありアンチエイジングなどにも効果があると言われているので、ケトジェニックダイエットを行っていなくても常日頃から摂取していても問題ない成分です。
お金に余裕がある人はαリポ酸も摂取してみてください。比較的金額も安めですから。
特にマイプロテインで購入すれば安く購入することが可能です。
まとめ
ケトジェニックダイエットは非常に制約の厳しい、高難度なダイエット方法ですが効果は確かです。
まとめるとケトジェニックダイエットの方法は以下のようになります。
- 糖質をカットする(糖質のみカット。脂肪は摂って良い)
- 体内でケトン体ができる
- ケトーシスになる
- 脂肪がエネルギーとして消費される
最初の2,3週間は今までの生活習慣が染みついているため辛く感じるかもしれません。
しかし、それを乗り越えれば今まで苦労していたダイエットが嘘のように楽に体重を落とせるようになるはずです。
今年こそは痩せるぞと思っている方は一度試してみる価値は十分にあると思いますよ。
ただ、何度もいうように行う際はしっかりと準備を進めて、安全におこなってくださいね。
ジンガー
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