インナーマッスルの基礎知識と鍛えるためにおすすめの筋トレメニュー

インナーマッスルの基礎知識と鍛えるためにおすすめの筋トレメニュー

「インナーマッスルが大切!」

という言葉をよく聞きませんか?

特に、部活動などでスポーツをされている(いた)方などは顧問の先生やコーチに言われたことがあるのでは?

インナー、つまり内側にある筋肉なので、なんだか表面的ではなく、内に秘めた真の力のようですよね。

特に、外見ではなく内面で人を判断することが美徳としてあるように、「内側」というのはなんだか大切そうです。

今回は、なんか大切そうだけど実はよく分かっていないインナーマッスルについて解説していきたいと思います。

そもそもインナーマッスルとは?

先ほども解説しましたが、インナーマッスルとは読んで字のごとく「内側の筋肉」を意味します。

しかし、どこからがインナーマッスルでどこからがアウターマッスル(外側の筋肉)なのかというのは厳密には決められていません。

インナーマッスルは概念設定が緩すぎるために、その存在意義が論議されることもしばしば。

「インナーマッスルってどの筋肉?」

という問に対して

「信じる人の心の中にある筋肉」

という、ダルビッシュ有投手の秀逸な回答がまだ記憶に新しいです。

ダルビッシュ投手のこの回答に対する意図としては、

  • ウエイトトレーニングで鍛えたアウターマッスル(表面的で安易な肉体改造)は野球では”使えない筋肉”である。
  • インナーマッスルこそ”使える筋肉”であり、ウエイトトレーニングなどでは鍛えられないために走り込みをするべき

と考えるOSの古い脳みそを持った日本の野球業界を皮肉っていることが考えられます。

ここから察するに、おそらくインナーマッスルについて興味を持たれている読者の皆さんも、

”使える筋肉”を鍛えるためにはどうしたらいいのか?という問の答えを探しているかと思いますので、今回はそれらについて解説していきたいと思います。

インナーマッスルとアウターマッスルの違い

  • インナーマッスル:深層部の筋肉
  • アウターマッスル:表層部の筋肉

名前を読み解く限り、2つの筋肉の違いは存在している位置に他なりません。

例えば、肩関節周辺の筋肉であれば、

最も表層部にある三角筋がアウターマッスル

深層部にある肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋などのローテーターカフと言われる筋群がインナーマッスル

と呼ぶことができます。

また、股関節周りであれば、

大腿直筋を始めとする大腿四頭筋がアウターマッスルであるのに対して、

脊柱から内蔵を横断するようにかかっている腸腰筋がインナーマッスルです。

腹部の場合は、

シックスパッドに割れることからもわかるように腹直筋が最も表層部でアウターマッスル。

インナーマッスルには、腹横筋、内腹斜筋、横隔膜などが該当するはずです。

インナーマッスルもアウターマッスルも同じ「骨格筋」ですので、骨格を動かすという意味では同じ働きを担い、また特徴も同じですので筋肉が大きく(強く)なる仕組みも同じです。

つまり、上記で紹介したような

ウエイトトレーニングではインナーマッスルを鍛えることができない

という考えは間違いになります。

インナーマッスルの機能について

インナーマッスルの機能としては、

  • 三角筋とローテーターカフ
  • 大腿四頭筋と腸腰筋
  • 腹直筋と腹横筋

これら3つが主な機能です。

アウターマッスルとインナーマッスルは「骨格を動かす」という意味では同じ働きですが、より筋肉の位置が深くなればなるほど「骨格を大きく動かす」ことが不得意になってきます。

例えば、肩関節を大きく動かすためには三角筋とローテーターカフ、どちらも動員されますが、三角筋がより運動に関与します。

脚を持ち上げる動作も同じように、特に重要なのは筋肉が大きくて強い大腿四頭筋になります。

では、インナーマッスルと呼ばれる深層部に存在している小さな筋群はいったいどんな働きがあるのでしょうか?

それはズバリ「関節の微調整」です。

小さくて深層部にあり、インナーマッスルと呼ばれる筋群は、関節を大きく動かすようなダイナミックな動きは苦手ですが、骨格の細かな微調節が得意です。

例えば、肩関節というのは上腕骨、肩甲骨、鎖骨、胸郭などの複数の骨から構成されていますが、

腕(上腕骨)を大きく動かした時に、これら4つの骨の位置バランスが崩れてしまうと関節が外れたり、捻挫してしまいます。

本来、靭帯という伸縮しない組織で関節は安定させられているわけなのですが、肩関節のように可動域が大きい関節では靭帯だけでは不十分なため、

ローテーターカフと呼ばれる小さな筋群が関節を保護しているのです。

このように、インナーマッスルは小さく弱い筋肉ではありますがとても大切な役割を担っているのです。

インナーマッスルを鍛えるポイント

間違いではありませんが、日本ではややインナーマッスルを鍛えることが過大評価されすぎているのではないかと感じます。

例えば、肉体改造に成功したダルビッシュ有投手ですが、日本球界では否定的な意見も多かったです。

「球速は天性のもので鍛えて速くなるものではない」なんてエビデンスのエの字もない発言を全国放送でしてしまう野球界のインフルエンサーのモラルにはやや度肝を抜かれてしまいました。

球速というのは、腕の振りの速度に比例して速くなりますので、骨格を大きく動かす働きを持つアウターマッスルの機能が向上すれば球速は速くなります

この場合、インナーマッスルは球速の向上に直接的には関与しません。

ここにおけるインナーマッスルは「超速で振られる肩関節の保護」という役割が強いです。

ダルビッシュ有選手ほど、強く腕が振られた場合、それに相応するインナーマッスルの強度がないと、上腕骨はたちまち肩の球状関節から抜けてキャッチャーミットに収まるまで止まらないでしょう。

インナーマッスルを鍛えるということは、怪我を防ぐためにとても重要なのです。

インナーマッスルを鍛える為におすすめの筋トレメニュー

最後に代表的なインナーマッスルとして、

  • 肩関節のローテーターカフ
  • 腹部の腹横筋、内腹斜筋など
  • 股関節の腸腰筋

の鍛え方と、それぞれの筋肉の働きを解説していきます!

肩関節のインナーマッスル(ローテーターカフ)

上記でも簡単に解説したように、肩関節は非常に多くの骨から構成されていて、さらに可動域が人間の身体のなかで最も大きい関節です。

可動域が大きいというのは、同時に不安定であることを意味しますので、複数のインナーマッスルによって関節を保護しなければなりません。

それがローテーターカフと呼ばれる、深層部筋群なのです。

これらは上腕骨の回旋運動で鍛えることができます。

動画はインターナルローテーションと呼ばれるローテーターカフのトレーニングです。

軽い重量、もしくはゴムチューブを用いて、丁寧に上腕骨のみ回旋させます。

インターナルローテーションの動きとは逆に、エクスターナルローテーション、つまり内側から外に向かって回旋させるトレーニングもあり、これら2種類をバランスよく行なうようにしましょう。

腹部のインナーマッスル

特にインナーマッスルとして人気なのが、体幹部の筋肉である腹部のインナーマッスルです。

「体幹が大切!」

というのも、

「インナーマッスルが肝心!」

という言葉ぐらいよく聞きますよね。

上半身と下半身をつなぐ大切なパーツである体幹が、トレーニング不足でゆるい状態だと下半身で産み出した力を上半身に上手に伝えることができません。

野球の投球などでも、下半身の力を上半身に伝えることが大切ですが体幹が緩いと、この工程が上手に行きません。

特におすすめなトレーニングがプランク。

四つん這いのフォームを1分キープしてみましょう。

アイソメトリックトレーニングと呼ばれますが、正しい姿勢を作るために最適のトレーニングです!

股関節のインナーマッスル

最後に紹介するのが、股関節のインナーマッスルです。

「腸腰筋」は走るために大切と言われている筋群ですが、ご存知ですか?

脊柱から生え、骨盤を通過し大腿骨に癒着しているこの筋肉は、骨盤まわりの姿勢を整えるためにとても大切な筋肉なんです。

鍛えることで、体幹部のインナーマッスル同様、下半身の力を上半身に上手に伝えることができるほか、腰痛や肩コリを改善することができます。

腸腰筋は、脚を引き上げる運動で鍛えることができます。

他のインナーマッスルのトレーニング同様に、軽い重量で丁寧に行なうようにしてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

インナーマッスルについては諸説ありますが、今回は骨格や関節をサポートする靭帯のような役割がある筋肉、ということで紹介をしました。

実際、これらの筋肉を鍛えることは怪我を防ぐためにもアスリートには必須です。

しかし、鍛えたからといって身体パフォーマンスが著しく向上するわけではありません。

インナーもアウターも、その機能をしっかりと理解し鍛えることが大切ですので、これからもトレーニングについて考え続けることが必須でしょう。

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