陸上短距離選手が鍛えるべき筋肉と取り入れたいおすすめ筋トレメニュー

陸上短距離選手が鍛えるべき筋肉と取り入れたいおすすめ筋トレメニュー

様々なスポーツがありますが、その中でもあの短距離の王「ボルト」に憧れて陸上短距離を行っている人も多いのではないでしょうか?

当サイトでは今まで、様々なスポーツ競技に適したトレーニングを紹介してきましたが、今回はこの陸上短距離のための筋トレを紹介します。

陸上短距離のための筋トレは、まさに足が速くなるための筋トレですので、陸上短距離の競技者以外にも、知っておいて損はないかと。

どこの筋肉を鍛えれば効率が良いなども詳しく解説していくので、参考にして頂ければと思います。

陸上の短距離で使う筋肉

皆さんもご存知かと思いますが、走る時に使うメインの筋肉はもちろん下半身なので、下半身の筋トレが重要になってきます。

しかし、もう一つ忘れてはいけないのが上半身の筋トレです。

走る時には足に加えて腕を全力で振りますよね?

これは肩関節の股関節の動きが連動していて、腕を振ることで下半身をより大きく動かすことが出来るからなんです。

ですので、今回は

  • 下半身の筋トレ
  • 上半身の筋トレ
  • 下半身と上半身の動きを連動させる筋トレ

をそれぞれ紹介していきます。

ただ、筋トレメニューを知る前に少し、短距離で筋トレを行う際の注意点を幾つか紹介します。

短距離を目的で筋トレをする場合の注意点

陸上競技は、他の球技などのスポーツと違い、勝ち負けが非常に簡単に決まります

勝ち負けが簡単に決まる、というのは勝敗を決めるための要因が少ないことを意味しています。

というのも、野球やサッカー、ラグビーといった大人数で行なうチームスポーツであれば

  • 他の選手のコンディション
  • 相手チーム
  • 試合の作戦
  • 審判

などなど様々な要素が勝敗に関わってくるので、個人のコンディションがあまり重要視されません。

個人で調子を整えるというよりは、チームでミーティングを繰り返して試合に望みますよね。

しかし、陸上競技では個人のコンディションがもろに勝敗に直結してきますので、とにかく試合に向けての調整という部分が大切になってきます。

もう、試合が一週間後であるのにも関わらず、レップ数の多い筋肥大用の筋トレをしていては、自分の筋肉のコンディションは絶対に試合に適した状態にはありません。

そこで重要となるのが、ピリオダイゼーションです。

ピリオダイゼーション

筋トレをして、自分の底力を強化していくことは確実に必要ですが、それと同時に行わなければならないのが筋肉の状態を整えることです。

日々どんなトレーニングを行なっているのかによって、筋肉の力の発揮の仕方は簡単に変化します。

例えば、ボディビルダーの様な筋肉を肥大させるようなゆっくりとしたトレーニングを行っているのであれば、筋肉の収縮のスピードは遅くなるので試合時には適さないコンディションになります。

高重量を使って最大挙上重量を向上させていくようなトレーニングを行えば、力は強くなるものの筋収縮の速度という面ではやはり他の選手に遅れを取ってしまうでしょう。

筋収縮を向上させるトレーニング(スクワットジャンプなど)を行えば、筋収縮速度は向上させることが出来ます。

しかし、このトレーニングだけでは筋力は向上しないために、ピッチは速くなるけれども脚力が足りないのでストライドが伸びない走りになってしまいます。

そのためには

  • 筋力を獲得するための土台作りやケガ予防として筋肥大
  • 脚力を向上させるために筋力強化
  • 素早く脚を回転させるために筋収縮速度の強化

この3つの要素が必要になりますが、これらを上手に計画立ててトレーニングしていく必要があり、そのようなトレーニングの長期計画をピリオダイゼーションと呼びます。

簡単に、毎年試合があるとして、一年間のピリオダイゼーションを紹介します。

 月 目的 重量/レップ数
10月 オフ
11月 筋肥大 中重量/中レップス
12月 筋肥大 中重量/中レップス
1月 筋肥大 中重量/中レップス
2月 筋肥大 中重量/中レップス
3月 筋力強化 高重量/低レップス
4月 筋力強化 高重量/低レップス
5月 筋力強化 高重量/低レップス
6月 筋収縮速度の強化 プライオメトリクス、時々高重量/低レップス
7月 筋収縮速度の強化 プライオメトリクス、時々高重量/低レップス
8月 筋収縮速度の強化 プライオメトリクス、時々高重量/低レップス
9月 試合項目内容

※試合が9月にあるとします。

簡単な例ですが、上記のように時期に合わせて使用重量や回数、トレーニングの種目などを変化させる必要があります。

短距離におすすめの筋トレメニュー

では、注意点を紹介したところで上記で紹介した3つの目的

  • 下半身の筋トレ
  • 上半身の筋トレ
  • 下半身と上半身の動きを連動させる筋トレ

これらに適したトレーニングを各3種目ずつ紹介していきます。

まずは、下半身の筋トレから。

おすすめの下半身の筋トレ3種目

下半身の筋トレメニューで取り入れたい主な種目は

  • スクワット
  • ウォーキングランジ
  • ボックスジャンプ

この3つです。

スクワット

このトレーニングは身体の基礎を作るためには絶対に欠かせません。

下半身の筋力強化だけでなく、体幹部、身体の軸の強化をすることが出来ます。

筋肥大期では、ハーフスクワットで10RMで8~10レップス、3~5セット程を行なうようにしましょう。

この時期では筋肉を大きくしてパワーを付けることが目的ですので、食事も程よく過食気味でも問題ありません。

筋力強化期では、クォータースクワットで5RMを3レップス程度、3セット行いましょう。

高重量で深くしゃがむスクワットは、怪我の可能性がある他に身体に大きな負担を掛けます。

試合が近くなり、トラックでの練習が増えてくる時期ですので筋トレでの疲労は最低限に抑えるようにします。

また、スクワットのような強い筋発揮をする瞬間は、脚を地面に接地させて身体を前に押し出すタイミングですが、ここでの股関節や膝の角度はかなり広くなっていて、浅いスクワットと似た身体の姿勢となっています。

この姿勢で強い筋発揮が出来るようにクォータースクワットで強化します。

ウォーキングランジ

脚を前後に交差させるランジ種目は走力を強化させるためには絶対に欠かせません。

中でも前進していくウォーキングランジは陸上の動きと非常に酷似したトレーニングになります。

筋肥大期も筋力強化期もレップスは特に変化させる必要はありません。

ただし、筋肥大期では適度な重量で深いランジを、筋力強化期では少し高重量で浅いランジを行なうようにしてください。

ボックスジャンプ

このトレーニングは筋収縮速度を強化するためのプライオメトリクストレーニングに分類されます。

目標となるボックス(台)にジャンプ出来るように全速で筋肉を収縮させます。

怪我の可能性があるため重量は担がず、強度を増やしたい場合は目標のボックスを高くしていきましょう。

おすすめの上半身の筋トレ3種目

上半身の筋トレでは

  • トップサイドデットリフト
  • ベントオーバーローイング
  • ベンチプレス

この3つをメインの種目に組んで行ってください。

トップサイドデッドリフト

背部の筋肉はPチェーン(Posterior chain)と呼ばれ、運動連鎖に特に大切な筋肉になります。

力強い腕振りをするためや、地面からの反発力で前に進むためには強靭な背筋が必要になります。

通常のデッドリフトでは下半身にも疲労が溜まってしまい、トラックでの練習に支障をきたす恐れがあります。

今回紹介するトップサイドデッドリフトは膝の上でのみデッドリフトを行い、背筋の強化にf-カスしたトレーニングになります。

使用重量などは時期によって変更させてください。(スクワット参照)

ベントオーバーローイング

上記の種目と同様に背筋のトレーニングになります。

パワーポジションからバーベルを引き上げる運動ですが、この際に腕で引き上げようとするのではなく、肩甲骨の動きを用いて引き上げるように意識してください。

速く走るための腕振りは、腕を振るのではなく肩甲骨を動かすことに意味があるために、このようなトレーニングを行い、肩甲骨の動きを強化しましょう。

ベンチプレス

確かに背筋の動きが非常に大切になってきますが、拮抗筋である大胸筋もバランス良く鍛えないと、怪我や崩れた姿勢の原因となります。

ベンチプレスでなくとも、ダンベルを用いたダンベルプレス、器具がなければ腕立て伏せでも構いません。

可能であれば、手のひらを内側に向けたパラレルグリップでプレス運動を行なうとより陸上の腕振り運動に近くなるので効果的です。

下半身と上半身の動きを連動させる筋トレ3種目

下半身と上半身の動きを連動させる筋トレでは

  • レネゲイドローイング
  • ハンギングジャックナイフ
  • ハングクリーン

この3つの種目がおすすめです。

レネゲイドローイング

このトレーニングではバランスを整えるために上半身と下半身の動きが連動します。

右腕でダンベルを引き上げた際には右足を強く前に押し出す必要があります。

右腕を引いて右足を前へ、左腕を引いて左足を前へ。

この動きの連動はまさに走っている時の腕振りと足の動きです。

ハンギングジャックナイフ

懸垂の姿勢から脚を懸垂バーまで持ち上げる運動です。

一見腹筋のみの運動に見えますが、脚を一番高いところもまで持っていくためには背筋力が欠かせません。

背筋と腹筋の連動という意味では先程のレゲネイドローイングように、走りに酷似した効果的なトレーニングであると言えます。

ハングクリーン

プライオメトリクストレーニングに近いトレーニングです。

下半身の地面を押す力と、上半身の腕を引き上げる運動を連動させたトレーニングです。

他のウエイトトレーニングと違い、筋肉を素早く収縮させることが求められるこのトレーニングは試合前の調整期に適したトレーニングになります。

以上が短距離におすすめの筋トレたちです。

あくまでも、おすすめであって必ずこの種目をやらないといけないわけでないです。

他の種目を取り入れてももちろん、問題ありません。ただし、大きな筋肉である

  • 大胸筋
  • 背中
  • 下半身

この3つの筋肉をメインでメニューは組むことをおすすめします。

そうすることで、パフォーマンスが上がることは間違いないですから。

それぞれの筋肉の筋トレに関してはこちらでも詳しく解説しているので、気になる人は参考にしてみてください。

摂取したいおすすめのサプリ4種類

トレーニングも大切ですが、それに加えて食事、サプリメントの管理もとても大切になってきます。

特に陸上競技では身体のコンディションが重要になってきますので、トレーニング同様しっかりと行いたいです。

プロテイン

身体能力を向上させるためには筋力強化が欠かせません。

練習後やトレーニング後でのプロテインの摂取を習慣づけることで、疲労の回復や筋力強化に繫がります。

様々なサプリメントがありますが、プロテインは最も優先するべきサプリメントです。

クレアチン

試合の日に合わせてクレアチンレベルを最大限まで高めておくようにしましょう。

そのために欠かせないのがクレアチンサプリメントです。

クレアチンは体内で素早くエネルギー源となるために、沢山貯蔵しておくと瞬発系運動能力が向上します。

短距離選手、またその他の瞬発系競技者におすすめのサプリメントです。

グルタミン

陸上短距離の練習は強度の高い無酸素運動ですので、筋トレに似ています。

このトラックでの練習に加え、筋トレも行う場合には筋肉に沢山の負担を掛けてしまうので、それ以上にメンテナンスに気を使う必要があります。

グルタミンは身体の免疫力、怪我の回復力を高め、筋疲労を回復させる効果があるので経済的に余裕がある場合には是非摂取していただきたいです。

しかし、サプリメントだけに頼ることも危険ですので、グルタミンの摂取に加え、ストレッチやマッサージといった体のケアも怠らないようにしましょう。

HMB

最近話題になっている成分で、アミノ酸のロイシンが体内で代謝されることでできる成分です。

HMBを摂取することにより、タンパク質が分解されるのを防いで、合成を促進してくれるという作用があります。

なので、最終的に筋力・筋量がアップに効果が期待できるのです。

まとめ

今回紹介した陸上短距離の筋トレは、走力を強化したい他のスポーツ競技者にも応用出来るものです。

また、ピリオダイゼーションの考え方も陸上短距離だけのものではありません。

他の競技のトレーニングを応用するという考え方はどのスポーツにも大切ですので、是非今回のトレーニングを様々なフィールドで応用して頂ければと思います。

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